こんな夜だから書庫に行こう

はてなから感想の保管作業終了!!
現在、10年ほど前の一言感想をアップしています。
<< June 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

Profile

Selected entries

Category

Archives

Links

BlogPeople

STARLIGHT mini

あわせて読みたい

あわせて読みたい

RECOMMEND

RECOMMEND

RECOMMEND

RECOMMEND

Comment

Trackback

Other


  • Admin
  • RSS1.0 | Atom0.3
  • Template by Dsh+
  • Powered by JUGEM

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2009.09.29 Tuesday | - | - | -

永井するみ『レッド・マスカラの秋』

 雪絵とともに友人ミリが出演するファッションショーを見に行った凪。赤いマスカラをつけたミリはモデルの中でも一際印象的で、ショーは大成功だった。だが、楽屋でのミリは様子がおかしい。聞くところによれば、イリヤというモデル仲間が瞼を腫らしショーに出られなかったのは、ミリが渡した赤いマスカラによるという・・・

 『カカオ80%の夏』に続くシリーズ第二作。意外なことに永井さんはシリーズキャラが初めてなのだとか。
 あまり人と群れることを好まなかった凪が、友人ミリのために動くという。そのこと自体が前作との大きな違いであり、同時に凪の成長とシリーズの進展を感じました。こういうのはシリーズものを読むときにちょっとうれしくなります。
 凪の行動はどちらかといえば思い付きというか無防備というか、あまり思慮深くは感じられません。しかしながら、むしろそういった行動、あるいは直線的な思考が女子高生らしくも思われます。あまり大人びていても彼女たちの年代の雰囲気は出せないでしょうし、逆もまたありえたでしょう。YAの読者を想定するならば、その年代に共感を得られるような等身大の人物像として適当だったのではないでしょうか。

 ただ、ストーリー展開はややご都合主義的に思われ、残念です。もっとも、凪たちのキャラクターを描くことを第一義と考えるならば、そんなことにとらわれる必要はないかもしれません。
 夏、秋と続いたことから憶測すると、おそらくこのまま冬、春とあと二回は凪に会えるでしょう。そのときをまた楽しみにしたいです。

関連作:『カカオ80%の夏
2009年2月8日読了
2009.02.18 Wednesday 18:07 | な行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

望月守宮『無貌伝 〜双児の子ら〜』

評価:
望月 守宮
講談社
¥ 1,260
(2008-01-09)
Amazonおすすめ度:
正統派
奥深い世界観
 “ヒトデナシ”。それはこの世界に人とともに存在する怪異。無貌という“ヒトデナシ”に顔を奪われた名探偵秋津を襲ったことから彼の助手になった古村望。無貌からコレクションとして舌を狙われている鉄道王の孫娘芹の警護だったを依頼され秋津とともに向かうが、榎木家では次々惨劇が・・・

 第40回メフィスト賞受賞作。
 この賞には当たりハズレが大きそうな印象があったのですが、今回は大きな当たりだったようです。
 登場する無貌や匂色といった“ヒトデナシ”の特性を理解するのに若干苦労するかもしれませんが、それ以外は特別にひっかかることもありません。おそらくは昭和初期と思われるパラレルワールドを舞台に、堅実な筆で独特の世界を紡ぎ上げます。
 “ヒトデナシ”なんてものが出てくるものですから、どれだけ突拍子もないような作品なのか正直なところかなり不安もありました。しかし、この作品は予想していた以上に真っ当なミステリなのです。

 繰り広げられるミステリは比較的オーソドックスなもの。鉄道王一族の邸宅で起こる忌々しい連続殺人。ひとり、また一人と一族は予言のように殺されていくのです。ただ、そこには当然のことながら“ヒトデナシ”いう味付けがされているのがポイント。無貌に顔を奪われるとそれ以前の知り合いには姿や声を認識されなくなるし、匂色が憑いた人はその部分で触れることで他人の記憶を得たりできるのです。これが警察や探偵の捜査に影響しないわけがありません。このあたりがうまく利用されていて、ミステリとしてのおもしろみを出しているように感じます。

 また、無貌に顔を奪われた秋津が、探偵というものの役割に疑問を感じて推理に消極的なのも興味深いところ。本来ならば率先して推理すべき名探偵が抱く疑問、葛藤。それは事件に積極的に関与しようとする望との仲違いから始まるふたりの成長物語という側面も持っています。助手という肩書きながらひとりの探偵としての覚悟を持って行動する望の活躍と、それに感化された秋津。ふたりの今後が楽しみになります。
2009年2月7日読了
2009.02.16 Monday 13:32 | ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

評価:
米澤 穂信
新潮社
¥ 1,470
(2008-11)
Amazonおすすめ度:
作品の幅の広がりを感じました。
ドキドキさせてくれること間違いなし
バベルの会――幻想と現実の狭間で惑う、儚い者たちの聖域(アジール)
 「バベルの会」。それは大学で上流階級の子女であることを条件に入ることを許されるらしき読書会。そんな良家では大概何名かの使用人を抱えていた。ある者は家事全般を司り、またある者は別荘を管理して主人や来客が顔を見せる日を待ち続けた・・・

 最後の一文の衝撃を売りにした米澤さんの新作短編集。それと知っていたら衝撃が薄まってしまうような予感もしましたが、そんなこともないようです。
「身内に不幸がありまして」
 丹山家の娘吹子に仕える村里夕日。彼女の秘密の手記には、吹子が「バベルの会」読書会を楽しみにする様が記されていた・・・そんなことのために! そう思わずにはいられない。いくらそういう人だからとはいえ、最初からとんでもないものを出してきたなあ。
「北の館の罪人」
 六綱家の別館に暮らすことになった妾腹の子あまり。ところが別館には先客がいた・・・隠されていた裏側とが明らかになるとき、そして最後、思わず二度もドキリとさせられました。読み手以上に登場人物がドキリかも。
「山荘秘聞」
 別荘飛鶏館で客を待ち続ける管理人屋島守子。冬の日、彼女は遭難した登山者を見つけ、飛鶏館へと連れ帰った・・・そっちじゃなくてこっちか。まったくしてやられました。しばらく考えてしまいましたが、よく見るときれいに伏線が張られています。
「玉野五十鈴の誉れ」
 旧家の跡取り娘純香。彼女の誕生日に祖母から贈られたものは、同い年の使用人五十鈴・・・『Story Seller』で既読。ただし、初出のときとは最後の部分が変わっていて、その一文が本当に衝撃的。いや恐ろしい。
「儚い羊たちの晩餐」
 荒れ果てたサンルーム。円卓に置かれた一冊の日記。最初の頁には「バベルの会はこうして消滅した」・・・書き下ろしの一編。さすがにうまくまとめますね。終わりは始まり、です。アミルスタン羊か。

 「最後の一撃」「ラスト一行の衝撃」なんて言葉からは、まるで物語の世界が反転するようなものを想像してしまいますが、この作品集はそういったものではありません。むしろ物語をきれいにまとめる「とどめの一撃」とでもいうような感じです。
 ということで、帯や紹介文からの期待とは少し違うので若干がっかりするかもしれませんが、それを抜きにすれば黒米澤全開の歪んだ素晴らしい作品集。帯のことは忘れて読んでください。
 様々な趣向が凝らしてあり、どれもおもしろくて堪能できるのですが、「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」といったところのわかりやすい一撃がよかったです。もちろん、「玉野五十鈴の誉れ」の強烈なインパクトも。

収録作:「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」
関連作:『Story Seller
2009年2月2日読了
2009.02.10 Tuesday 21:50 | や行(米澤穂信) | comments(0) | trackbacks(46)

伊坂幸太郎『モダンタイムス』

 突如失踪した先輩五反田に代わってあるプロジェクトを押しつけられたSEの渡辺拓海。ただ出会い系サイトの入力項目を1つ増やすだけなのに、そのプログラムを解析して、あるキーワードで検索すると秘密のサイトにたどり着くことを知ってしまった。それは災難の始まり・・・

 『魔王』から数十年後の世界。「呼吸」の安藤詩織が登場します。
 今にして考えれば、『魔王』も『ゴールデンスランバー』も、そしてこの『モダンタイムス』も国家や社会と個人との関係、すなわち国家システムに守ってもらえるとは限らない、妄信してはいけないということを描いているように思います。決して国家や社会への不審を煽るのではなく。
 検索から始まる監視と情報の操作。数十年後と言わず、現在でも人知れず行われているのかもしれないこと。私たち人間はなんて無防備なのでしょう。
 そんな小難しいことを考えなくても、この作品は渡辺拓海に降りかかる恐怖と災難の根源を目指すエンターテインメントとして十分に楽しませてくれます。

 ただし、今までの作品にあった伊坂さんらしさが薄いように感じました。週刊誌連載の影響でしょうか、シーンがややぶつ切りになっているような印象があります。なんとなく、きれいにつながっていないのです。それに、伏線の回収は張り巡らされたものを怒涛のように回収するというよりも、むしろ説明されないものが多く残されたようでした。他の作品のようにスマートではなく、かなり粗いつくりですし。セリフの言い回しとか確かに伊坂さんなんですけど、あまり伊坂さんの作品というイメージを持たずに読んだほうがよかったかもしれません。
 登場人物の中では、渡辺の妻佳代子のインパクトが抜群でした。何者ですか、あの人。彼女の以前の夫二人はどうしたんだ。ということで、きっとまたどこかで登場してくることでしょう。

関連作:『魔王
2009年2月1日読了
評価:
伊坂 幸太郎
講談社
¥ 1,785
(2008-10-15)
Amazonおすすめ度:
変化球
どうなの?
娯楽から快楽への誘い〜伊坂ワールド

2009.02.09 Monday 19:25 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(48)

東野圭吾『聖女の救済』

評価:
東野 圭吾
文藝春秋
¥ 1,700
(2008-10-23)
Amazonおすすめ度:
東野作品らしくない平板さ
かなり正当な推理小説
ちょっと現実離れした感が・・・
 真柴はとうとう持ち出した。結婚から一年経って子供を授からなければ離婚するというあの約束を。だが、真柴が自宅で死んだとき、妻の綾音は北海道の実家にいたのだ。どうしたら夫を殺害できるというのか。意見を違えた草薙と内海はそれぞれに捜査を進めた・・・

 「探偵ガリレオ」シリーズの第二長編。周知のことながら、第一長編は『容疑者Xの献身』であり、比較される運命からは免れられない作品です。
 結論から言えば、僕はこっちのほうがよかった。
 別に、石神のような男が出てくるよりも聖女が登場する方がいい、というわけではありません。もちろん。
 なんと言っても、この突拍子もないトリックが衝撃的でした。
 もう、このトリックひとつのために長編を書いたかのようなトリックです。人によっては「バカミス」と解釈することもあるでしょう。まさに一発勝負の大ネタです。
 正直なところ実現可能でも実行しないであろう類のもの。湯川がこれを評して「虚数解」というのも理解できますね。
 このトリックを生み出す発想がとにかく素晴らしいと思うのです。また、この犯人、この状況ならば実行し得るというキャラクター設定もされていて、感心してしまいます。他のトリックを使った可能性もしっかり消されていて、無理のない展開でした。

 加えて、今回は内海・湯川組と草薙による二方面作戦のような捜査の比較がなかなかおもしろいものになっています。なかでも草薙のジレンマというか、心理的葛藤が物語の深みを増しています。
 『容疑者Xの献身』で最高峰まで上り詰めた東野さん。
 できるなら加賀刑事と湯川准教授との対決も見てみたいなあ。
 また映像化されたらこの犯人は誰が演じるのだろう。そんなことを考えてしまいますね。
関連作:『探偵ガリレオ』『予知夢』『容疑者Xの献身』『ガリレオの苦悩
2009年1月24日読了
2009.02.05 Thursday 23:12 | は行(東野圭吾) | comments(0) | trackbacks(45)