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評価:
土橋 真二郎
アスキーメディアワークス
¥ 599
(2009-02)
Amazonおすすめ度:
肩のこらない娯楽作品
いつものアレ、ではあるが
オマージュ?パロディ?
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「絶対に開けないでください」事故の混乱の中、そんな言葉とともに相沢遼一に託されたひしゃげたトランク。だが、勝手に開いてしまったトランクから出てきたのは、両膝を抱えて丸くなっている少女。はたして彼女は何者なのか・・・ 『ツァラトゥストラの階段』が3巻で止まったまま出された土橋さんの新作。今回もまたゲームのようなシステムに題材にしています。
最近思うようになったのですが、土橋作品のテーマはつねに人間とシステムとのコミュニケーションパターンのシミュレーションのような気がします。今回は特にそれが顕著でしょう。七組のコンビにもたらされた結末は、それぞれのコミュニケーションのとり方が色濃く影響しているようで、興味深いものでした。特に人間側から見たいくつかのバッドエンドをあからさまにすることで、その厳しい面を否応なく読者に突きつけています。
遼一と奈々との関係も、一歩間違えればほかのコンビと同じ、打算だけのドライな関係。ただ、それをそうさせなかったのが、奈々を妹としたことや美穂の干渉、そしてNHKなのでしょうか。恐るべし、NHK。
結末から予想すると、おそらくこの作品はこれで完結かと思われます。比較的きれいにまとまっていますし。ただ、限られた長さに収めるためでしょうか、少々話の流れが駆け足で、システムを消化しきれていないようでした。いろいろなものを切り捨てて、根幹部分だけでゴールまでたどり着いたかのよう。幼馴染の美穂も、セイバーやバグも切り捨て。これはかなりもったいない。どうせなら2冊、3冊になっても枝葉まで書いてほしかったと思います。
ということで『ツァラトゥストラの階段』、楽しみにしてます。
としめくくったら、なんと5月に2巻も出るのだとか。こっちも楽しみにしてます。そしてどうなる、『ツァラトゥストラの階段』。
2009年2月23日読了
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