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評価:
辻村 深月
講談社
¥ 1,575
(2008-10-24)
Amazonおすすめ度:
「人の心」の表現がうまい
ファンサービスの一冊
もどかしい
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あの校舎へとつながる道、あの校舎からつながる道。それは、どこからやって来て、どこへ行こうというのか・・・
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「ロードムービー」
ワタルと友達になったことから、アカリとその取り巻きからいじめられるトシ。春休み、トシとワタルは家出を試みた。それは・・・とにかく、ワタルの演説がいいですね。泣かせてくれます。得意のアレも単純だけれどきれいに決まって、驚かせてくれました。まとまりもよく二重マル。
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「道の先」
俺は学習塾でバイトを始めた。そこで出会った千晶は先生いじめをする女王様。俺はなぜか千晶に気に入られたのだが・・・やさしい人は、時としてひどい人の場合もあります。この俺の持つやさしさも表面だけの、その場しのぎのものかもしれませんが、それでも今はただ信じたい気分。このやさしさには賛否両論あるかもしれませんが、素直にとれば悪い話ではないはずです。
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「雪の降る道」
病弱で学校を休み続けるヒロ。毎日見舞うみーちゃんを煩わしく思うヒロは、つい酷い言葉をぶつけてしまった・・・人を傷つけてしまうことの怖さ、切なさ。そういったものを知ったからこそ、彼の進む道は正義につながっていたのですね。健気なみーちゃんの姿がなんとも言えません。
辻村さんのうまいところのひとつは子どもの心を描くことだと思うのですが、この作品集でもそれは健在。特に自分に得はなくとも他人のために行動する子どもたちは抜群です。大人としてはそれを偽善ではなく、健気なものと純粋に受け止めたいところ。
三編すべてデビュー作の『
冷たい校舎の時は止まる』からのスピンオフ。あの人もあの人もあの人も何らかの形で登場します。ただし、それぞれが独立した短編として読めるので、『
冷たい〜』を読んでいない方でも辻村作品の魅力を味わえること間違いなし。でも、順番が逆でも両方読んでほしいですね。
収録作:「ロードムービー」「道の先」「雪の降る道」
関連作:『
冷たい校舎の時は止まる』
2008年12月17日読了
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