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評価:
有川 浩
角川グループパブリッシング
¥ 1,470
(2008-07-01)
Amazonおすすめ度:
「今」も「昔」も「ラブコメ」三昧!!
王道を行く
誰もが恋をする。
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年齢だって性別だって職業や階級だって関係ない。自衛隊を舞台にした、ラブコメ短編集第二弾。
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「ラブコメ今昔」
今村のもとにやってきた隊内紙「あずま」の取材。その内容は、30年も前の妻とのなれそめ・・・さすがに落ち着いた雰囲気のある物語。お漬物はいいですね。でも、30年も前のこういうことって、なかなか話せるものじゃないと思いますよ、やっぱり。
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「軍事とオタクと彼」
新幹線で出会った彼は年下の自衛官。遠距離恋愛だが彼には秘密があった・・・彼の持っている秘密がいい味を出しています。もはや秘密でもなんでもないですが。自衛官としての一面が生きてきます。
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「広報官、走る!」
映画やテレビへの協力も広報官の仕事のひとつ。カウンターパートは感じのいい女性だが、今回の撮影はトラブル続きで・・・女たらしでもそうじゃなくても、王様に理不尽にいじめられていたりしたらやっぱり助けたくなるでしょう。そのさりげなさがやっぱり女たらしなのかも。
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「青い衝撃」
夫はブルーインパルスのパイロット。当然のようにもてるのだが、大胆に宣戦布告してきた女性がいた・・・めずらしくちょっとドロドロした話。でもちゃんと最後はハッピーエンドにするのが有川さんらしさかな。追い詰められていく怖さがあります。
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「秘め事」
上官のすすめで女性に会った手島。だが、気があったのは女性を連れてきた上官の娘。口外できないふたりは・・・ホームドラマにありがちなベタ。「お嬢さんを・・・」って奴です。腹を括った女性の強さを感じます。
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「ダンディ・ライオン〜またはラブコメ今昔イマドキ編」
隊内で展示された写真に目を奪われた千尋。撮影した吉敷は雑誌にも投稿していたが、会ってみると・・・本当に職業とか階級とか、レッテルを超越するんですよね、恋愛って。いや、それをわかっているからこそ千尋は今村二佐にも突撃できるのか。
同系統の短編集『クジラの彼』とは異なり、他作品からのスピンアウトはありません。全体にすごく甘くてベタベタな作品がそろっているはずなのですが、すっかり免疫がついたのか、それほど甘くは感じません。それがいいのか悪いのか。
隊内紙「あずま」が出てきたときに、このインタビュー記事の形式だけで1冊の短編集を作ってしまってもおもしろいんじゃないかと思ってしまいました。『ぼくのミステリな日常』のように。いえ、別に最後にひっくり返さなくてもいいんですがね。
収録作:「ラブコメ今昔」「軍事とオタクと彼」「広報官、走る!」「青い衝撃」「秘め事」「ダンディ・ライオン〜またはラブコメ今昔イマドキ編」
2008年8月16日読了
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