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評価:
加藤 実秋
東京創元社
¥ 714
(2008-03-11)
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「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれるホストクラブがあればいいのに」そんな一言から生まれたclub indigo。店の人気は上々だが、なぜかホストたちが殺人や誘拐といった事件に巻き込まれてしまう。その度にオーナーの晶とホストたちは夜の渋谷を奔走するが・・・
第10回創元推理短編賞受賞作
「インディゴの夜」を含む連作短編集。全体にミステリとしての推理要素は薄く、創元推理短編賞のイメージから本格ミステリを期待した方にはやや期待はずれかも。ただし、晶とホスト探偵団の痛快な活躍は楽しく、読んで損はしないのでは?
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「インディゴの夜」
客だった編集者のまどかが殺された。容疑をかけられたホストのTKOは、彼女の部屋から怪しい女が出て行くのを見たという・・・いきなりホスト探偵たちが活躍。事件の展開はやや都合がよいようにも思え、創元推理短編賞を受賞した割にミステリ食は薄いのですが、事件の真相にはちょっとした恐ろしさを感じます。
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「原色の娘」
ジョン太が預かったのは小学生の祐梨亜。よそのホスト・空也に惹かれた祐梨亜は借りられるだけ金を借り、姿を消した・・・いつも女性客を手玉にとっているようなホストたちが、小学生に翻弄される姿がおもしろいですね。ちょっとした暗号ものですが、本当にちょっとした。
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「センター街NPボーイズ」
区長の娘が撮られたやばい写真の回収を依頼された晶たち。撮ったナンパ師は区長を強請ろうとしているが・・・東京って本当に怖いところですね。今度はセンター街での大追跡戦。
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「夜を駆る者」
憂夜への電話は、辞めたホストのBINGOからのSOSだった。晶はキャバ嬢に扮しBINGOが働いていたクロノスに潜入するが・・・憂夜さん大活躍。ジョン太たちの失態は想像どおりでしたが、その後の華々しい乱闘劇はおもしろかったです。晶がクロノスのターゲットにされた理由には思わず苦笑。
とにかくいきいきと描かれるホストたちが魅力的。ホストといっても一般的なホストクラブのホストではなく、アフロだったりDJだったりと個性的でしかもたくましいホストたちです。彼らが独自のネットワークを生かしたり、渋谷の街を駆け巡る様はワクワクさせてくれます。
夜の東京をちょっとだけ掘り下げ、垣間見ることが出来る短編集。続編の『チョコレートビースト』も出されていて、こちらも期待大。長編でもおもしろいかも。
収録作:「インディゴの夜」「原色の娘」「センター街NPボーイズ」「夜を駆る者」
2008年6月2日読了
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