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評価:
有川 浩
幻冬舎
¥ 1,470
(2008-01)
Amazonおすすめ度:
爽やかな恋愛小説でした。
嗚呼
アイディアはいい
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宝塚駅から阪急電車で隣に乗り合わせていたのは、かつて中央図書館で征志が手に取らんとしている本を直前で奪っていった女性だった。それ以来、本の趣味が似ていることから気になるのである。もちろん、彼女は気付いていないだろうが・・・
阪急今津線の宝塚〜西宮北口間往復を舞台にし、16駅それぞれの短編を繋げた連作短編集。登場人物にとって、電車の中や駅での出来事がいずれもちょっとした人生の岐路になっていたりします。なんということのない、ささやかなことかもしれませんが、人と人とのふれあいが中心です。
実際どうなのか知りませんが、関西地方の一都市間路線である阪急今津線という舞台であれば、いかにもこういう出会いやふれあいがあってもおかしくないと思わせます。そんなイメージがあります。これが関東やそのほかの地方であれば、ちょっとした違和感を覚えるのではないでしょうか。
また、折り返したあとの復路が、往路で登場した人たちの後日談として書き下ろされている構成もうれしい。往路を雑誌連載で読んだ人も、そうでない人も、きっと後日談が気になることでしょう。
登場する女性たちの多くが、自分を強く持っていてかっこいいことこの上ない。男勝りというのとはちょっと違うかもしれませんが、凛としているのです。それでいてかわいらしさも持ち合わせて。
通勤や通学でもない限り、電車やバスでの乗り合わせなんて一期一会のようなもの。でも、そこでの一言二言の会話が、何かをもたらしてくれるのかもしれません。
思わずクスッとしたり、快哉を叫びたくなるようなシーンがそこかしこに見られ、本当に楽しく、そして爽快。甘いばかりではなく、爽やかなところがいいですね。
なんだかここからまたいろいろな物語が始まりそうな予感も。というか期待でしょうか。神戸本線や宝塚本線に乗り換えてもいいから、サイドストーリーを読ませて欲しいです。
収録作:「宝塚駅」「宝塚南口駅」「逆瀬川駅」「小林駅」「仁川駅」「甲東園駅」「門戸厄神駅」「西宮北口駅」「西宮北口駅」「門戸厄神駅」「甲東園駅」「仁川駅」「小林駅」「逆瀬川駅」「宝塚南口駅」「宝塚駅」
2008年4月12日読了
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