小説の形態としてのシリーズは、大きく2つに分類することができます。
1つは刊行が進むにつれて、小説内の時間も進んでいる場合。
もう1つは刊行の順番と、小説内の時間が必ずしも一致しない場合。(例外として小説内での時間が提示されていない場合があります)
別にどちらが優れているとか、どちらがすきとか全く関係ないのですが。
では、「GOSICK」がこのどちらかといえば、間違いなく後者。『GOSICKs ゴシックエス・春来たる死神』は、この前に刊行されたヴィクトリカと一弥の4つの冒険譚以前の、2人の出会いを描いた作品集です。
ミステリとしてみるならば、明らかに小粒。これは長編のときでも同じことです。やっぱり不満が残ります。ただし、キャラクター小説としての側面は強く打ち出されています。
ところで、この短編集を貫いた大泥棒クィアランのエピソードですが、長編4冊で出てきた記憶がありません。気のせいでしょうか、それともこのエピソードは短編集用なのでしょうか。
収録作:「プロローグ」「春やってくる旅人が学園に死をもたらす」「階段の十三段目では不吉なことが起こる」「廃倉庫にはミリィ・マールの幽霊がいる」「図書館のいちばん上には金色の妖精が棲んでいる」「午前三時には首なし貴婦人がやってくる」「死神は金の花をみつける」
関連作:『
GOSICK ゴシック』『
GOSICKII ゴシック・その罪は名もなき』『
GOSICKIII ゴシック・青い薔薇の下で』『
GOSICKIV ゴシック・愚者を代弁せよ』
2006年5月30日読了
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