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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

道尾秀介『カラスの親指』

評価:
道尾 秀介
講談社
¥ 1,785
(2008-07-23)
Amazonおすすめ度:
何かもの足りない
期待しすぎたかも・・・
いまひとつ
 詐欺を生業とするタケさんとテツさんは、詐欺が取り持つ縁で生活を共にする。やがて二人の共同生活に割り込むことになったのはまひろという少女。彼女もまた詐欺やスリで生活していただけでなく、姉とその恋人を連れてきた。5人になった擬似家族は過去と訣別するために策を講じる・・・

 第140回直木賞候補作。
 道尾さんの作品を読むのはこれで5冊目。今まで読んだ作品の主人公はいずれも子供から青年といったところでした。そこで本作の主人公タケさんの設定を読んで、期待よりも不安が先立ちました。タケさん、中年の詐欺師ですから。「これ、道尾さんらしくないんじゃない?」と。もちろん、そんなの杞憂に終わりましたが。
 最初から登場人物たちが置かれた状況が悲惨で、思わず目を背けたくなったりもしました。例えば、タケさんやテツさんの家族のこととか。ただし、それもおもに前半のこと。中盤から後半にかけては、ヤミ金業者に詐欺師たちが己の知恵と経験を生かして挑むという勧善懲悪?の展開。それも明るくユーモラスで、読んでいても加速がつきました。

 すべてが終わるまでを顧みると、さすがにご都合主義的に思える部分もあることは否定しません。これだけ大きな目論見がうまくいくとも思えませんし。
 しかしながらそういった部分を除けば、張り巡らされた伏線がしっかりと機能した作品にほかなりません。道尾さんの得意技が炸裂、というわけです。もしかしたら、あなたが読んで違和感を覚えたあのシーンも、あの人も、実は伏線かもしれませんよ。

 コン・ゲームを題材にした傑作といえば『紳士同盟』を思い出しますが、『カラスの親指』はこれに勝るとも劣らぬ作品でしょう。惜しくも直木賞の受賞を逃しましたが、早くその選評を読んでみたいです。
2009年1月17日読了
2009.01.28 Wednesday 22:41 | ま行(道尾秀介) | comments(0) | trackbacks(48)

道尾秀介『ソロモンの犬』

評価:
道尾 秀介
文藝春秋
¥ 1,400
(2007-08)
Amazonおすすめ度:
ソロモンの犬
犬。
上手い
 秋内静の目の前で起こった交通事故。亡くなったのは、愛犬オービーに引っ張られ道路に飛び出した幼き友人陽介だった。飛び出す直前にとったオービーの不可解な動きは? 秋内は、事故の謎を探るためにロードレーサーで走り出した・・・

 道尾作品の特徴といえば、巧みに配置された伏線による世界が変わるかのようなどんでん返しです。僕自身、過去三回もそれにやられていて、今回もある程度注意を払って読んだのですが、やはり見抜くことはできませんでした。なんとなく気にはなるものの、前後との関係からスルーしてしまったり。いつものことながら、この伏線テクニックは本当に上手いですね。
 また、秋内が事故の謎を探るために動物生態学の間宮助教授と奔走する部分が、助教授のキャラクターもあってなかなかおもしろかったです。間宮助教授は変人的なキャラが立っていて、他の作品でも使えそうなほど。問題は動物の関わる謎でしか使い物にならないことでしょうか。

 ミステリと平行して、友江京也、巻坂ひろ子、羽住智佳と繰り広げられる学生生活も読んでいて引き込まれました。智佳に淡い恋心を抱く秋内の言動は、瑞々しいと言うか、初々しいと言うか、痛々しいです。その辺が、青春小説としての一面を出すだけでなく、ミステリ部分にも大きく影響を与えているだけに、否定はできないのですが。
 おもしろく読み進めて、事故の謎のことなんてすっかり忘れてしまうような作品でした。しかし、ミステリ的に見てこの真相はどうなのでしょう。後味の悪さはないかもしれませんが、拍子抜けの感じは否めません。そこが残念でした。
 表紙に象徴されるように、今まで読んだ道尾作品の中では最も明るい雰囲気を持っています。青春ミステリが好きな人にはオススメ。
2008年11月7日読了
2008.11.10 Monday 23:02 | ま行(道尾秀介) | comments(0) | trackbacks(0)

道尾秀介『シャドウ』

評価:
道尾 秀介
東京創元社
¥ 1,575
(2006-09-30)
Amazonおすすめ度:
ラスト。全ての謎が解ける心地良さ。唸って下さい。
転々々々
秀作
 癌で母・咲枝を亡くした小学五年生の我茂凰介。葬儀から一週間ほどで凰介は登校したが、今度は幼馴染の水城亜紀の母・恵が夫の職場から転落死してしまう。亜紀も車にはねられ、父・洋一郎や亜紀の父・徹の様子もおかしい。いったい両家には何が起きているのか・・・

 ミステリ・フロンティア第27回配本作品。第7回本格ミステリ大賞小説部門受賞作。
 ミスディレクションを多用した心理ミステリ。変わらぬ巧みな技術が見られます。多視点を活用した複雑な構造で、語るべきところとそうでないところを正確に使い分けています。それでいて過剰にごちゃつくことはなく、きれいにまとめられていて、スムーズに物語に引き込んでくれます。

 道尾さんの作品はまだ3作しか読んでいませんが、登場人物に対する徹底した厳しさがあるように感じられます。試練を与えているというべきかも。それが道尾さんの発言にある「本格ミステリほど人間を描ける、感情を描けるジャンルはほかにないんじゃないか」ということかもしれません。その点、本作は以前読んだ『向日葵の咲かない夏』に近いのかと。
 では、何が違うのかと考えたときに、思いついたのはやはり読後感でしょうか。『向日葵の咲かない夏』ではその不条理を生理的に受け付けられず、突き放されるような感覚がありました。今回の結末もまた決して正しいとか、きれいだとか言うべきものだとは思いませんが、それでも『向日葵の咲かない夏』ほどの読後感の悪さはありませんし、十分に受け入れられるものでした。もっとも、真相のインパクトでは劣りますが。

 ますます読みたくなる道尾作品。次は『背の眼』か、それとも『ソロモンの犬』か。
2008年5月29日読了
2008.06.03 Tuesday 23:41 | ま行(道尾秀介) | comments(0) | trackbacks(0)

道尾秀介『ラットマン』

評価:
道尾 秀介
光文社
¥ 1,680
(2008-01-22)
Amazonおすすめ度:
こんな騙し方があったのか!
不思議な、しかし絶妙なタイトル名。
ラストまで気が抜けず…やられたって感じです!!
 コピーバンドでギターを担当している姫川。高校のときから同じメンバーで活動してきたが、2年前にドラムのひかりが妹の桂に交代した。それ以来、恋人でもあるひかりとの関係はギクシャクしている。いつも使っていたスタジオのが閉鎖が決まり、ぞこでの最後の練習中、悲劇は起きた・・・

 一昨年、『向日葵の咲かない夏』を読んで自分に合わないと決め付けていた道尾さん。紹介文に惹かれて懲りずに読んでみましたが・・・これはなかなかおもしろい作品でした。
 前半、特に事件が起きるまでは若干状況が飲み込みにくく感じたものの、事件の後はかなりスリリングで、ラストまで怒涛の一気読み。『ラットマン(=騙し絵の一種)』というタイトルどおり、巧みに配置されたレッドへリングで注意していてもミスディレクションの罠にはまってしまいます。特に現在と過去の使い方には感心するばかり。
 また、昨年『シャドウ』で本格ミステリ大賞を受賞した際に、道尾さんは座談会で「本格ミステリほど人間を描ける、感情を描けるジャンルはほかにないんじゃないか」と発言されています。本格ミステリがそのベストジャンルなのかわかりませんが、新たに知りえた事実だけでなく、感情の移り変わりがものの見え方を変えるということを巧みに描いた作品であることに間違いはありません。

 ただし、「誰が殺人を犯したのか」という謎については、本当にその人なのか、他の人物をかばっているんじゃないかという疑問が拭えませんでした。それは、その真相に至るまでの明確な裏付けが見つけられないためで、残念なのと同時に小さなひっかかりのような印象が残ります。
2008年3月1日読了
2008.03.05 Wednesday 12:08 | ま行(道尾秀介) | comments(0) | trackbacks(1)

道尾秀介『向日葵の咲かない夏』

向日葵の咲かない夏
向日葵の咲かない夏道尾 秀介

新潮社 2005-11
売り上げランキング : 22533

おすすめ平均 star
star好奇心をかきたてるホラーミステリー
star煽り文句がうまかった
star向日葵

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by G-Tools

 一学期の終業式の日、小学四年生のミチオはクラスで仲間はずれにされているS君の家へプリントを届けに行く。だが、そこで見たものは首を吊って死んでいたS君だった。ミチオは学校に戻り先生に報告するが、先生と警察がS君の家へ行くと、死体は消えていた・・・

 『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した道尾秀介さんの受賞後第一作。『向日葵の咲かない夏』というタイトルからは、非常にリリカルなものを予想していたのですが、ちょっと予想していたのとは異なるものでした。いや、ちょっとじゃないな。はるかに異なる感じ。これもリリカルと表現できるかもしれないけれど、期待していたものではありません。
 あまり突っ込んであらすじを書くとなんでもネタバレになってしまいそうな作品。
 さすがにホラーサスペンス大賞特別賞を受賞されただけのことはあって、物語を読ませます。続きが気になって、ページを繰る手が止まらないとはこのこと。ミステリとして読んでも、次々と新たな事実や証言が出てきて、そのたびに突き崩されていく推理の楽しさが詰まっています。ただ、紆余曲折というよりもただひたすら片方へ旋回し続けていくような感覚ですが。

 ということで、道尾秀介という作家の実力を見せつけた作品です。がしかし・・・なんなんですか、この黒さは、この後味の悪さは、この不条理は。取り扱った事件の状況、登場人物の言動等々、物語の節々から感じられる嫌な予感は膨張を続けながらラストへとなだれ込み、そこで遂に大爆発してしまった模様。すごい。けれどキライ。生理的にちょっと受け付けないのです。
 きっとこの作品に諸手を上げて大絶賛、そんな人も多いでしょう。実力があることははっきりしていますが、僕が読みたい本ではなかったようです。
2006年7月6日読了
2006.07.06 Thursday 00:00 | ま行(道尾秀介) | comments(0) | trackbacks(0)