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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

宮木あや子『白蝶花』

評価:
宮木 あや子
新潮社
¥ 1,470
(2008-02)
Amazonおすすめ度:
愛に飢えていた娘たちの物語
 大正時代の芸妓、戦前の妾、戦中の女中、そして終戦直後の政治家の娘。時代は移り変われども、女はただひたすら一途に男を思い続けた。いまだ女性に自由がない抑圧された時代を駆け抜けた女性たちの恋物語。

 宮木あや子さんの3作目はデビュー作『花宵道中』のような雰囲気を持つ連作集でした。『雨の塔』のような現代ものよりもお気に入りです。
「天人菊」
 同じ置屋に売られてしまった菊代と雛代の姉妹。旦那もいるけれど、菊代が気になるのは黒田という男・・・ままならぬ恋の切なさが強く伝わる一編。『花宵道中』同様、この世界は作者のお手のものでしょうか。
「凌霄葛」
 父が残した借金のために女学校を中退し、三島の妾となった泉美。突然現れた男は、三島の長男吉明だった・・・誇りを捨てない生き方。女性の強さを感じます。どんなに苦しく、つらいものでも耐え、待ち続ける強さを。
「乙女椿」
 酒田から女中奉公のため福岡へ来た千恵子。漆間家のお嬢様和江はたいそう気難しく・・・戦争という無情に引き離されてしまう女性たち。その時代に身を置かなければ本当のところはわからないでしょうが、自由にならない時代だからこそ、感情を突き動かされるような激しい恋をするのかも知れません。三編をつなぐこの書き下ろしの展開には脱帽です。
「雪割草」
 ぼやけてゆく記憶の中、和江が思い出すのは正文と出会ったころのこと、そして・・・戦後の自由を獲得しつつある時代、残された遺物との戦いでしょうか。そして、間に合ったのかどうか気になって仕方ありません。

 内容から言っても長さから言っても「乙女椿」が中心で、あとはプロロ−グとエピローグのようなものかもしれません。ただし、決してそれらはおまけではなく、それぞれの時代の女性の強さと弱さ、そして儚さを描いた作品です。
 各編のタイトルでもないのにこの作品集に付けられた『白蝶花』という書名。読後に扉にある紹介文を読み返すと、この女性たちの強さがより深く身にしみるような気がします。

収録作:「天人菊」「凌霄葛」「乙女椿」「雪割草」
2008年8月11日読了
2008.08.16 Saturday 20:49 | ま行(宮木あや子) | comments(0) | trackbacks(0)

宮木あや子『雨の塔』

評価:
宮木 あや子
集英社
¥ 1,260
(2007-11)
Amazonおすすめ度:
よい耽美さ
惜しいかな。
 人里離れた岬の巨大な学園。そこは、それぞれの事情で世間から離れて暮らすことを余儀なくされた良家の少女たちが通うところ。さまざまな過去と環境を抱えた少女たちの感情は、閉ざされた空間でどこへ向かうのか。

 『花宵道中』でデビューした宮木さんの第2作。
 過去や身の上を明かさず、ただ1人の自分として距離を持って接していたものが、お互いのことを知り、その距離が徐々に短くなっていくにつれ、自分をコントロールできずに壊れていく。そんな切なさ、重さがとても息苦しく、それ故に読んでいるのが辛くなります。
 登場するのはたった4人の少女だけですが、後半に近づくに従い書き分けができなくなっている気がし残念です。極端な特徴付けはいらないでしょうが、誰が誰のことを思い、誰を妬んでいるのか、だんだんわからなくなってしまいます。
 良家の子女が隔離され、何ひとつ不自由しないような生活を送る学園。この設定は興味深く、この4人でどんな世界を作り出すのかと期待していたのですが、あまりにも儚く、残酷な結末に少々の驚き。
 短いながらも密度の濃い世界でした。でも、時代物の方がいいかも。
2008年1月17日読了
2008.01.22 Tuesday 11:41 | ま行(宮木あや子) | comments(0) | trackbacks(0)

宮木あや子『花宵道中』

評価:
宮木 あや子
新潮社
¥ 1,470
(2007-02-21)
Amazonおすすめ度:
うまい!
美しさと切なさ全開の連作集です
時代物好き
 吉原の小見世・山田屋の遊女・朝霧は、不器量ながらもあと少しで年季を終え、吉原を出て行くはずだった。だが、朝霧は出会ってしまった。自分の運命を変えてしまう若者・半次郎に。(「花宵道中」)

 第5回女による女のためのR-18文学賞大賞、読者賞を受賞した表題作を含む連作集。訪れる男たちに身を捧げ続ける遊女たちの叶わぬ恋の儚さ、切なさが巧みに表現されています。
●「花宵道中」
 朝霧と半次郎、出会ってしまった二人の間には一人の男がいた・・・あっさりと書かれた壮絶な結末に心揺さぶられます。
●「薄羽蜉蝣」
 初見世を二ヵ月後に控えていた茜は「好いた男がいる」と三津に告げた・・・何度名を呼ぼうとも恋しい人へ思いは届かない、この切なさ。
●「青花牡丹」
 母を亡くし父に捨てられた京都島原の遊女・霧里。弟の身を案じつつ江戸へ下るが・・・「花宵道中」の裏側にある物語。記される真相に驚愕するとともに、その執念に感服。
●「十六夜時雨」
 惚れる弱さなんて捨てたつもりだった八津だが、新たにやってきた髪結い・三弥吉のことが気になりだして・・・恋の形は人それぞれだけれども、八津が選んだそれはあまりにも切なく、そして前向きでした。
●「雪紐観音」
 看板女郎桂山の下で期待される緑。彼女は桂山以外と口がきけなかった・・・短いながらも遊女たちの生活と思いが巧みに表現された一篇。こういう恋もありですよね。

 各篇は所々でかさなり合っていて、同じ場面を表から、あるいは裏からと語られる箇所がいくつか見受けられます。こういった場面に出くわす度に、より吉原へ、山田屋の姉さんたちの中へぐっと引き寄せられていくような感覚がしました。構成の妙でしょうか。
 R-18という名のとおり、子供には読ませられない作品集。それは官能的な表現がされているからではなく、ここに記されているのが子供ではきっと理解できない大人の恋だから。傑作。

収録作:「花宵道中」「薄羽蜉蝣」「青花牡丹」「十六夜時雨」「雪紐観音」
2007年8月23日読了
2007.08.24 Friday 22:09 | ま行(宮木あや子) | comments(0) | trackbacks(0)