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評価:
平山 瑞穂
新潮社
¥ 1,575
(2007-03)
Amazonおすすめ度:
グッと来る読後感
きっとまた読みたくなる一冊
いたたまれない感じが巧い
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忘れられないあの人をふたたび見かけたのは、思いもかけないアダルトサイトだった。そこそこ美人でできる女だが男を選ぶセンスが欠けている都築祥子と、文学青年で社交性に欠け冴えない桜川衛。二人はやがて・・・
先が気になり、読み続けてしまう物語でした。
何故か周りの人物に恵まれず、ただひたすら堕ちていってしまう祥子。繰り返される同じ過ち。もちろん、過ちに気づくことができない彼女にも非があるのでしょうが、本当に悲劇的。1章、2章は祥子の視点で書かれ、それが祥子への共感と同情を呼ぶのに効果的に機能しています。
2章まで読んだときには、「都築祥子と彼女によってくる変わった男達」なんて感じの連作短編集になるのかと思いかけました。冒頭のエピソードさえなければ本当に。
一方、対照的な3章は証券会社に就職した衛の視点。別人のように変わった衛が自分の仮想敵としてきた祥子を捜し求めます。この視点の転換は最初違和感があったのですが、衛が祥子を探すという構成上必要なことでしょう。でも、なんだか衛には感情移入できませんでした。
どこかでボタンを掛け違えたような人生。出会って、そして離れたことにより何かが変わってしまった二人。どこまで戻れば、どこからやり直せばいいのだろう。後悔とは少し違うかもしれないけれど、誰もが一度は考えることではないでしょうか。でも、やっぱりそれまでの積み重ねで今があるのだから、戻ることも、やり直すこともできないのですよね。
「やり直しなんか、きかないんだよ」
祥子の言葉が胸に突き刺さります。
2007年7月8日読了
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