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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

樋口有介『木野塚探偵事務所だ』



木野塚探偵事務所だ
Amazonで購入
書評/国内純文学
樋口有介
東京創元社 2008-03-11
売り上げランキング : 140012

おすすめ平均 star
star憎めないカッコ悪さにクスリ

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 30年以上勤め上げた警視庁を定年退職した木野塚佐平氏。マーロウやアーチャーを崇拝する木野塚氏はこれを機に、念願の私立探偵事務所を開設したが、木野塚氏は警視庁時代経理畑一筋、一度も捜査などしたことがないのだった・・・

 なんともユーモアあふれるハードボイルド? です。
 格好から入るというのは何かを始めるときの一つの方法ではあるけれど、木野塚氏はその典型であり、ひたすらマーロウやアーチャーの格好のいい部分から真似ようと。むろん、それが事件の依頼や解決に直結するわけではありませんが、時に飲めない酒を口にし、吸えないタバコを銜える木野塚氏。秘書の募集に美しく、グラマーな女性が応募してくるのを当然のことと待ち続ける木野塚氏。これでは「女の子にもてたいから」とスポーツを始める少年となんら変わりありません。その姿はかわいらしくもあり、哀れでもあります。
 その木野塚氏と対比して書かれるのが秘書の梅谷桃世。そのボーイッシュな容姿は木野塚氏の理想とは合わないものの、秘書というより助手としてテキパキと捜査し、あっという間に事件を解決してしまいます。その姿はあちらこちらへと遠回りする木野塚氏とは対照的です。おまけにその素性も。桃世に対して所長としての威厳を保つべく、指導を試みようとする木野塚氏もまた滑稽です。

 惜しむらくは、依頼された事件がいわゆる日常の謎の範囲を出なかったことでしょうか。金魚、犬、菊、猫と扱う事件もこれまたユーモラスですし、短編の長さがお似合いな探偵なのかもしれませんが。そのあたりは、続編の『木野塚佐平の挑戦だ』(初刊時『木野塚佐平の挑戦』)がカバーしてくれているようなので、楽しみにしています。

収録作:「名探偵誕生」「木野塚氏誘拐事件を解決する」「男はみんな恋をする」「菊花刺殺事件」「木野塚氏初恋の想い出に慟哭する」
2008年5月13日読了(再読)
2008.05.22 Thursday 13:08 | は行(樋口有介) | comments(0) | trackbacks(0)

樋口有介『不良少女』


不良少女
Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

 取材費の前借りとアルバイトの探偵稼業で金欠をしのぐ“刑事事件専門のフリーライター”柚木草平。元上司で愛人の冴子や担当編集者の直海からの依頼を引き受け、今日も美女にまつわる事件を調べていく・・・

 単行本未収録作品を集めた短編集。
●「秋の手紙」
 冴子の依頼で、従姪の女子高生にラブレターを送り続ける中年歯科医と話をつけようとした柚木だったが、相手は手紙に心当たりがないと否定し続ける・・・殺しよりも何よりも、ある意味一番悲しい結末。短編としてまとまっているものの、若干物足りなさも感じます。
●「薔薇虫」
 亡くなった代議士の家で、飼っていた犬と猫が相次いで死んだ。直海に頼まれ調べると、2匹はの死因はどちらも毒によるものだった・・・上流家庭を舞台にした切ない物語。それ自体は珍しくもないでしょうが、ペットの死に関心が向きました。
●「不良少女」
 飲み歩いた夜にコンビニで出会った金髪に染めた少女は、いくつもビルを持つ富豪の一人娘。彼女の祖父の死は複雑な家庭環境に変化を加えようとしていた・・・中編。もっとも女性に翻弄された感が強い作品。冴子を放ってまでユカのもとへと急ぐ草平がシリアスに探偵をしている姿を表しているよう。
●「スペインの海」
 常に3人の男性と援助交際する女性。何も問題はなかったはずだが、相手の元にはそれぞれデートの写真が送りつけられた・・・なんとも切ないラストが印象的。自業自得と言えばそれまでですが。
●「名探偵の自筆調書 柚木草平」
 これはおまけ。柚木ならもう少し口調が重い気がし、違和感が残りました。

 毎度のことですが、さまざまな女性と出会い、振り回される柚木草平。今回は短編集ですので、それだけの人数の美女が登場します。
 ただ、短編集だけにそれぞれにはやや物足りなさを感じました。事件の底が浅いというか、あるいは仕掛けが足りないというか。ここでもう一山、もうひとひねりと期待したところでフェードアウトしていくような。ですから、いちばん楽しませてもらったのは中編の表題作「不良少女」。やはり、このシリーズは長編の方が適していると再確認しました。新作『捨て猫という名前の猫』に期待。
 なお、あとがきに書かれている文体を変えたという件ですが、まったく気付きませんでした。違和感がなかったと言うか、むしろ読者として気にしていなかったというべきでしょうか。
 余談ですが、「名探偵の自筆調書」は10年ほど前の連載時に楽しませてもらったものです。またどこかで似たようなことをやってもらえれば。
 これで「プラスチック・ラブ」も収録されていればコンプリートだったのですが・・・

収録作:「秋の手紙」「薔薇虫」「不良少女」「スペインの海」「名探偵の自筆調書 柚木草平」
関連作:『彼女はたぶん魔法を使う』『初恋よ、さよならのキスをしよう』『探偵は今夜も憂鬱』『誰もわたしを愛さない』『刺青白書』『夢の終わりとそのつづき
2007年11月28日読了
評価:
Amazonおすすめ度:
急ぎ足でスッキリできず
2007.12.01 Saturday 22:00 | は行(樋口有介) | comments(0) | trackbacks(0)

樋口有介『誰もわたしを愛さない』


誰もわたしを愛さない
Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス


おすすめ平均 star
starひさびさに直球のシリーズ作
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 桜の花びらが舞う季節。打ち合わせで月刊EYES編集部を訪れたフリーライターの柚木草平は石田に代わる担当編集者として小高直海を紹介された。同時に依頼されたのは渋谷のラブホテルで起きた女子高生殺人事件の特集記事。請け負ったものの、柚木にとって食指が動かない事件だった。

 あなたは、あなたの家族がどんなことをしているか、知っていますか。
 あなたの家族は、あなたがどんなことをしているか、知っていますか。
 子どもたちがそれぞれに個室を持つ家庭が増え、携帯電話を使うようになったのは最近のことではないけれど、それにつれて年々家族間の交流がなくなる傾向にある気がします。
 今回柚木が追う事件もまたそんな家庭が出てきます。「うちの子に限って」「兄弟と言えども他人」「父親なんて」というような家庭です。
 いかにも現代らしい舞台での、現代らしい事件。現代らしいアイテムも使って巧みに時代性を出しています。ただしそのアイテムはナイキのエアマックス96。そう、これは今から10年ほど以前の作品なのです。

 本作は『彼女はたぶん魔法を使う』から始まる柚木草平シリーズの第4弾。このシリーズの最大の魅力は、なんと言っても柚木の気障な台詞、一人語りだったりします。今作でもそれは健在。しかも、洒落た台詞を決めておきながら、予期せぬ切り返しに思わず言葉に詰まったりしています。この辺が柚木の弱みであり、同時に作品としての強みでしょうか。
 ミステリとしては比較的早い時点で犯人にあたりをつけることもできるでしょうし、必ずしも謎解きに重点が置かれていないとも思われる作品です。とは言っても、やはり謎解きにも力が入っている方がより魅力的でしょう。それに、創元推理文庫はともかく、旧版元の頃の帯でのネタバレは読み手の興味を削いでしまいそうです。講談社文庫版の帯を確認して唖然としてしまいました。
 創元推理文庫でよみがえった柚木草平シリーズ。まとめ読みするなら今でしょうか。

 ところで、解説で話題になっている「なぜ『誰もわたしを愛さない』は後回しになったのか?」という謎ですが、来月刊行予定の短編集『不良少女』や、現在「ミステリーズ!」誌に連載中の『捨て猫という名前の猫』と小高直海ものを続けたかったということではないでしょうか。
2007年10月7日読了(再読)
2007.10.10 Wednesday 14:16 | は行(樋口有介) | comments(0) | trackbacks(1)

樋口有介『夢の終わりとそのつづき』

評価:
樋口 有介
東京創元社
¥ 777
(2007-07)
Amazonおすすめ度:
浮いているような…
 警視庁の刑事を辞めて8ヶ月、雑文を書いてしのいでいた草平のもとに現れたのは絶世の美女だった。手付金の100万円を手に入れ、依頼されたとおり男を尾行し続けたのだが、男は毎日買い食いしながら歩くばかり。しかし、競馬のために一日代理を夢子に頼んだその日に、男は命を落としてしまう。しかも、死因は栄養失調と過労による衰弱死で、胃や腸は全くカラであったという・・・

 デビュー前に書かれた習作『ろくでなし』(1997年立風書房刊)をリライトし、装いも新たに柚木草平シリーズに加えられた作品。ということは『ろくでなし』では別の主人公だったわけで。

 “永遠の38歳”のはずの柚木草平35歳、刑事を辞めて8ヶ月ということからか、あるいはもともと20代の頃に書かれた習作だからか、セリフも行動もやはり他の作品に比べて若いというか、青い感じがします。
 ストーリーはちょっとSFがかった内容で、他の作品ではあまり見かけない傾向の作品かもしれません。その辺り、読み手によって好き嫌いが別れる可能性があります。もっとも、僕はこの程度なら全然大丈夫で楽しく読みました。
 ただし、習作当時のエネルギーをそのまま残したとあとがきにあるように、少々強引で無理やりな感じが漂うことは否定できません。柚木草平初心者にはあまりおすすめできない作品でしょうか。割り切って「ヤング草平」と考えればいいのかも。

 3歳分未熟で野心家な柚木草平。それだけでなく、やはりいつも以上に女性に振り回されている気がします。
「東京という街の困ったところは・・・・・・いい女が多すぎることだ」

関連作:『彼女はたぶん魔法を使う』『初恋よ、さよならのキスをしよう』『探偵は今夜も憂鬱』『誰もわたしを愛さない』『刺青白書
2007年7月21日読了
2007.07.23 Monday 13:40 | は行(樋口有介) | comments(0) | trackbacks(1)

樋口有介『11月そして12月』

11月そして12月
11月そして12月樋口 有介

新潮社 1995-04
売り上げランキング : 855013


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 高校、そして大学と続けて中退してしまった晴川柿郎。決して社交的ではない彼は、仕事にも就かず、ただカメラをいじり、街中に生息する動物や昆虫に対しシャッターを切っていた。だが11月のある日、高田馬場で山口明夜という女性と出会って以来彼の生活は忙しくなり、周囲もあわただしく動き始めた。

 急激に文庫化、再文庫化が進む樋口さんの作品群ですが、文庫化されていない作品も数多くあります。この『11月そして12月』もそういったものの1つで、1995年の単行本刊行以来文庫化されていません。
 ということで期待していたのですが、ちょっと期待はずれでした。
 今まで読んだ樋口作品というのは、たとえ主人公が世を達観し、悟りを開いているかのようであっても、どこか爽やかで、いきいきと動いていた気がします。それがどうでしょう。柿郎は行動力がないわけではないのですが、いきいきというイメージとは程遠く、むしろどんよりと澱んでいるかのよう。これでは読んでいて楽しくはない。

 また、ミステリ分がないのも影響しているのかも。いままでも「ミステリらしくないミステリ」あるいは「ミステリの体裁をとった青春小説」だったのですが、そういったものもありません。山口明夜の問題と柿郎の家族の問題が同時であるにもかかわらず、全く絡まないのも拍子抜けでした(現実的には絡むほうがまれですが)。
 軽妙な会話とか語り口は健在だけれども、僕にとってはあまりおもしろい作品ではなかったということになってしまいます。考えさせられることとかあったけれど。
2007年5月16日読了
2007.05.19 Saturday 14:30 | は行(樋口有介) | comments(0) | trackbacks(0)