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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

貫井徳郎『ミハスの落日』


ミハスの落日
Amazonで購入
livedoor BOOKS
書評/ミステリ・サスペンス

 重厚な長編が多い貫井さんの新作は、小説新潮を中心に掲載された短編集です。
 読んでみて意外だったことが2つ。
1.海外を舞台とした短編集だということはわかっていたけれど、登場人物も現地の人。当然といえば当然だけれど、日本人が中心だと思い込んでいました。
2.実は既読だった作品があったこと。普段文芸誌はパラパラめくる程度で小説は読みません。だからすべて未読だと思っていたのですが。ところが表題作は・・・
 ということで、読んでみるとなかなかバラエティに富んだ作品集でした。

●「ミハスの落日」
 既読だった表題作は『大密室』に収録。読んでいたわけですが、真相にたどり着くあたりまですっかり忘れていました。逆に言えば、唾棄すべき真相が生々しく忘れられない作品。ただし密室トリックはイマイチか。
●「ストックホルムの埋み火」
 いかにもといった風のサスペンス、しかしとんでもないところから読者の世界を反転させてくれます。最後の一文はわかる人だけに贈られた遊び心溢れるもの、なのですね。さてはこれのためにストックホルムが舞台なのか。
●「サンフランシスコの深い闇」
 コメディタッチの人物造形なのに、隠されているものはなかなかに深く、そして苦い。同じキャラクターを使った作品が『光と影の誘惑』に収録された「二十四羽の目撃者」だということなので、早く『光と影の誘惑』を探し出さなければ(本棚のどこかにあるはず)。
●「ジャカルタの黎明」
 これはちょっとした驚きでした。ミステリでこういう動機があっても説明がつけば問題ないと思うけれど、現実だったら取り合ってもらえない気がします。
●「カイロの残照」
 伏線が若干わかりやすい気もするのですが、世界が反転するインパクトは大きい作品。人の気持ちなんて常にすれ違い続けるものなのかもしれない。

 いずれも派手な作品ではないのですが、粒が揃った作品集となっています。貫井さんのうまさが光っていて、限られた紙幅の中に社会の深い闇だとか人間の暗い陰といったものを折り込み、鮮やかな切れ味で目の前の世界が反転あるいはグニャリと歪むような感覚を味わうことができます。
 各編のタイトルにあるとおり、それぞれ別個の都市が舞台なのですが、現地の雰囲気がよく伝わってきます。それだけでなく、ほとんどの作品が日本を舞台にはできない、あるいは日本では扱いにくい設定になっているようです。貫井さん自身がすべて現地を訪れているというだけに、その労苦が活かされていると言うべきでしょうか。何せ短編5編に10年近くを要した作品集ですから。完成度が高く、安心して読むことができるオススメの短編集です。

収録作:「ミハスの落日」「ストックホルムの埋み火」「サンフランシスコの深い闇」「ジャカルタの黎明」「カイロの残照」
2007年3月12日読了
2007.03.13 Tuesday 10:50 | な行(貫井徳郎) | comments(0) | trackbacks(0)

貫井徳郎『被害者は誰?』

被害者は誰?
被害者は誰?貫井 徳郎

講談社 2006-05-16
売り上げランキング : 69900

おすすめ平均 star
starじっくり考えながら

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 ある大邸宅の庭から白骨化した死体が掘り出された。家主は殺人をしたことは認めたが、その死体が誰なのかという点については黙秘を貫いている。困った捜査一課の桂島刑事は大学の先輩である吉祥院慶彦に相談した。美貌の超人気ミステリ作家であることに加えて、優れた推理能力を持つ彼は、残されていた古い手記から思いがけない結論を導き出した。(「被害者は誰?」)

 重厚な作風で知られる貫井さんのコミカルな作品集。各編のタイトルにあるように、一応フーダニット。通常のフーダニットとは違って「犯人当て」ではないのですが、必ずしも奇をてらうようなものではなく、基本はオーソドックスなもの。そこをちょっとひとひねり、といったところでしょうか。実際、表題作なんてそれこそ使い古され手垢のついたような仕掛けでしょうが、全く気づきませんでした。伏線もきっちり張ってあるのに。
 また、「探偵は誰?」では、吉祥院が過去に解決した事件を小説化した作品として作中作が登場します。これが「嵐の山荘」ものの犯人当て。すなわち探偵当てと犯人当てを1作の中で行う設定です。どちらかといえば作中作の犯人当てがなかなかおもしろかったです。まあ、変則フーダニット集の作中作である犯人当てをおもしろいと評価してしまうのも我ながらどうかと思うのですが。

 ところで、ここまで書いて気づいたのですが、貫井さんは本作『被害者は誰?』のノベルス版の惹句「究極のフーダニット」に対して『フーダニットじゃない話ばかりを集めた連作集なのに(笑)。』と記されています。(貫井さんの公式サイト『He Wailed』2003年5月3日のRECENT TOPICSより)
 ということは、僕が考えていたフーダニットって間違っていたのでしょうか?

収録作:「被害者は誰?」「目撃者は誰?」「探偵は誰?」「名探偵は誰?」
2006年5月22日読了
2006.05.23 Tuesday 00:00 | な行(貫井徳郎) | comments(0) | trackbacks(0)

貫井徳郎『さよならの代わりに』

さよならの代わりに
さよならの代わりに貫井 徳郎

幻冬舎 2004-03
売り上げランキング : 355063

おすすめ平均 star
starミステリとしては弱いけど
starミステリーとしてはちょっと強引かなあ。。。
star違った一面

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 劇団《うさぎの眼》で役者としてようやく認められだした和希。そんな和希の前に劇団の主宰者である新條のファンだという女性・祐里があらわれる。和希に隠しごとを続ける祐里。やがて公演は楽日になるが、控え室で劇団の看板女優・圭織が殺害される。

 ひさしぶりに読んだ貫井さんの本。貫井徳郎=鮎川哲也賞(最終候補)=本格、というイメージがあったのですが・・・期待は裏切られました。よい意味で。まだ読んでいない方は、ぜひ先入観を持たずに読まれることをオススメします。

 以下ネタバレ。
 プロローグで時間SFについて言及していることや祐里の言動から、彼女が何らかの形でタイムスリップしてきているということは容易に想像できます。このタイムスリップの謎が物語の中心であって、本来ミステリであるならば中心であるべき圭織殺害の謎を押しのけています。すなわち、本書はミステリというよりもミステリ風のSFであることを選択しているように思われます。
 そして、それ以上に本作はボーイミーツガールの恋愛小説。設定は切なさを増大させるための小道具であるといえるでしょう。歴史の自己修復能力の前にタイムトラベラーは無力であり、細切れになったタイムスリップの複雑な設定は、和希と祐里が同じ時間を共有し続けることを拒みます。「またね」と祐里は別れ際に言うけれど、これから祐里が会うのは祐里のことを知らない過去の和希、これから和希が会うのは和希のことをネットのファイルでしか知らない過去の祐里・・・
 読後だからこそ、表紙のジェットコースターが切ないです。
2004年12月12日読了


 ***以下2002年12月13日追記***
 ネタバレを含みます。ご注意ください。
 『さよならの代わりに』の表紙についてなんとなく考えてしまいました。
 昨日読了した時点では、あのジェットコースターは和希と祐里にとって二人が共有した時間を過ごした思い出をあらわしているのだと単純に思っていました。
 しかし、あのジェットコースターをよく見ると、カーブや単純な上昇、下降ではなく、1回転(ないしはそれ以上の回転)をしているようです。そこで考えたのは、この回転が祐里のタイムスリップのイメージに他ならないということ。もし単純な思い出だけならば、別にジェットコースターでなくても、競馬場でもどこでもよかったのでしょうね。
2004.12.12 Sunday 00:00 | な行(貫井徳郎) | comments(0) | trackbacks(0)

貫井徳郎『慟哭』

慟哭
慟哭貫井 徳郎

東京創元社 1999-03
売り上げランキング : 4800

おすすめ平均 star
star現代的な屈折
starちょっと粗削りじゃないか?
star一言で言えば、大変良くできた作品

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連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。

 第4回鮎川哲也賞最終候補作にして、貫井さんのデビュー作です。まさかこんなトリックを使っているなんて、と思わずにいられない驚愕の真相でした。固く生真面目な文章や警察組織の扱い方と、壮大なトリックとのギャップが大きく、素晴らしい作品でした。
1999年4月24日読了
1999.04.24 Saturday 00:00 | な行(貫井徳郎) | comments(0) | trackbacks(1)

貫井徳郎『失踪症候群』

失踪症候群 (双葉文庫)
失踪症候群 (双葉文庫)貫井徳郎
双葉社 1998-03
売り上げランキング : 141233

おすすめ平均 star
star砂の果実
starまるでスパイ映画
star症候群シリーズ第1作

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 「真梨子が緊急入院したのよ、自殺未遂かもしれないって…」 原田は呼んでも一向に応えない娘に強く語りかけた。何でこんなことを…。ミステリファン待望の長篇・第3作。

 はじめにメイントリックありきという印象を強く感じました。だから、それにほかの要素を付け加えても、必然性を感じることができませんでした。物語が少し複雑になったといったところでしょうか。イマイチあいませんでした。
1998年3月22日読了
1998.03.22 Sunday 00:00 | な行(貫井徳郎) | comments(0) | trackbacks(0)