こんな夜だから書庫に行こう

はてなから感想の保管作業終了!!
現在、10年ほど前の一言感想をアップしています。
<< March 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

Profile

Selected entries

Category

Archives

Links

BlogPeople

STARLIGHT mini

あわせて読みたい

あわせて読みたい

RECOMMEND

RECOMMEND

RECOMMEND

RECOMMEND

Comment

Trackback

Other


  • Admin
  • RSS1.0 | Atom0.3
  • Template by Dsh+
  • Powered by JUGEM

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2009.09.29 Tuesday | - | - | -

辻村深月『太陽の坐る場所』

評価:
辻村 深月
文藝春秋
¥ 1,500
(2008-12)
Amazonおすすめ度:
怖い!すごい迫力でした。
一人でやってろ
本当に囚われているのは……
 毎年行われている高校のクラス会。東京へ出た者と残った者、仕事や家庭、それぞれの都合もあり出席率は芳しくない。毎年欠席を続ける女優のキョウコを呼ぼうと、出席したメンバーは直接アプローチを試みた。そこで明らかになるのは・・・

 なんだかあまりにも痛々しい作品です。何がって、登場人物それぞれが抱えてきた想いが。憧れだったり、嫉妬だったり、優越感や劣等感だったり。わかるわかる、その感覚。
 それはやはり彼らが毎日をともにした高校時代に端を発しているのだけれども、ずっと引きずっていたり、あるいは不意に呼び起こしたりという形で表に出す手口がなんとも巧み。しかも、社会に出てからの彼ら彼女らがおかれている状況ともうまく重ねられ、違和感がありません。「この人は10年前、こんな高校生だったのか。然もありなん」という感じ。

 ただ、辻村さんが仕掛けるあれは、最初からちょっとあからさまでした。辻村作品を初読の場合はともかく、2、3作でも読んでいればその構図にはある程度気付く気がします。あれが必然とされるような理由付けもされていますが、たまにはあれなしでもいいんじゃないでしょうか。いや、あれあってこその辻村深月なのかな。きらいじゃないのですが。

 子供や学生を主人公にした作品がほとんどだった辻村さんですが、この世代も問題なくこなしましたね。大人になった人たちの心理に重きを置いた、読ませる作品です。
2009年3月1日読了
2009.03.05 Thursday 17:42 | た行(辻村深月) | comments(0) | trackbacks(0)

辻村深月『ロードムービー』

評価:
辻村 深月
講談社
¥ 1,575
(2008-10-24)
Amazonおすすめ度:
「人の心」の表現がうまい
ファンサービスの一冊
もどかしい
 あの校舎へとつながる道、あの校舎からつながる道。それは、どこからやって来て、どこへ行こうというのか・・・

「ロードムービー」
 ワタルと友達になったことから、アカリとその取り巻きからいじめられるトシ。春休み、トシとワタルは家出を試みた。それは・・・とにかく、ワタルの演説がいいですね。泣かせてくれます。得意のアレも単純だけれどきれいに決まって、驚かせてくれました。まとまりもよく二重マル。
「道の先」
 俺は学習塾でバイトを始めた。そこで出会った千晶は先生いじめをする女王様。俺はなぜか千晶に気に入られたのだが・・・やさしい人は、時としてひどい人の場合もあります。この俺の持つやさしさも表面だけの、その場しのぎのものかもしれませんが、それでも今はただ信じたい気分。このやさしさには賛否両論あるかもしれませんが、素直にとれば悪い話ではないはずです。
「雪の降る道」
 病弱で学校を休み続けるヒロ。毎日見舞うみーちゃんを煩わしく思うヒロは、つい酷い言葉をぶつけてしまった・・・人を傷つけてしまうことの怖さ、切なさ。そういったものを知ったからこそ、彼の進む道は正義につながっていたのですね。健気なみーちゃんの姿がなんとも言えません。

 辻村さんのうまいところのひとつは子どもの心を描くことだと思うのですが、この作品集でもそれは健在。特に自分に得はなくとも他人のために行動する子どもたちは抜群です。大人としてはそれを偽善ではなく、健気なものと純粋に受け止めたいところ。
 三編すべてデビュー作の『冷たい校舎の時は止まる』からのスピンオフ。あの人もあの人もあの人も何らかの形で登場します。ただし、それぞれが独立した短編として読めるので、『冷たい〜』を読んでいない方でも辻村作品の魅力を味わえること間違いなし。でも、順番が逆でも両方読んでほしいですね。

収録作:「ロードムービー」「道の先」「雪の降る道」
関連作:『冷たい校舎の時は止まる
2008年12月17日読了
2008.12.30 Tuesday 22:48 | た行(辻村深月) | comments(0) | trackbacks(0)

辻村深月『名前探しの放課後』

評価:
辻村 深月
講談社
¥ 1,470
(2007-12-21)
Amazonおすすめ度:
すごく良かったです!!
友達って良いよね。
うーん
 依田いつかには記憶があった。この3ヶ月の間に起こることの。生まれた甥は〈満塁〉と名付けられ、ジャスコの向かいのビルにあるパブの看板は撤去される。そして同級生の誰かが自殺するが、それが誰なのかわからない。いつかたちは、誰かわからない同級生の自殺を食い止めるため奔走する・・・

 これはまいりました。期待を裏切りません。
 自殺したのは誰か、どうしてタイムスリップしてしまったのか、という謎を追うSFミステリとして疑うことなく読み進めました。これがとても楽しいのです。
 物語の中心はこの自殺の阻止で、なかなかの緊迫感を持って進められます。特に究極の予防策を発動するあたりは圧倒的で、かなりハラハラさせられました。
 相変わらず伏線の回収は巧みで、そのことを念頭に置いていればこんなにきれいにやられることはなかったのかもしれませんが、迂闊にも依田いつかがつくりだした世界に没頭してしまい、真相にはまったく気付きませんでした。
 登場人物の印象も今までの作品とは若干違います。どちらかといえば内省的で説教臭さすら感じさせかねない過去作の登場人物に比べ、主人公のいつかは熱中することのない自堕落な人物で女性にだらしない人物。でも、こういう主人公だからこそ、物語に厚みがあります。

 ただし、エピローグはその表現に少々疑問。僕自身は読み進めるうえでまったく差し支えありませんでしたが、読者によっては結末、というか発端を理解できないのでは。若干不親切だった気がします。もっとも、こういう遊びは好きなので、これからも続けてほしいですね。
 実際の問題として、これだけ多くの人間があらかじめ定められた期間とはいえ他人のために動くというのはなかなかできない気がします。年を重ねればなおさら。それだけに、いまだ動ける高校生の若さと友情が羨ましく、そして懐かしかったりします。
 グリル・さか咲みたいな洋食屋、行ってみたいなあ。
2008年2月5日読了

名前探しの放課後(下)名前探しの放課後(下)
評価:star
辻村 深月

講談社
¥ 1,470
(2007-12-21)

Amazonおすすめ度:star
star好きだからかもしれないけど・・・

Amazonで詳しく見る by G-Tools
2008.02.07 Thursday 22:13 | た行(辻村深月) | comments(0) | trackbacks(0)

辻村深月『スロウハイツの神様』

スロウハイツの神様(上)スロウハイツの神様(下)
スロウハイツの神様(上)辻村 深月

講談社 2007-01-12
売り上げランキング : 30309

おすすめ平均 star
star好きです
star魅力ある個性とは
star迷っているのなら

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
スロウハイツの神様(下)辻村 深月

講談社 2007-01-12
売り上げランキング : 30593

おすすめ平均 star
star仕掛けは大げさだけど……
star恐るべし才能
starラストはおみごとも…

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 赤羽環がオーナーのアパート「スロウハイツ」。かつて旅館だったというこのアパートでは、脚本家の環がクリエイターの卵である友人たちを集め、共同生活を送っていた。中でも環が一目置くチヨダ・コーキは、10年前に起きた彼の小説を模倣した猟奇的な大量殺人事件によるショックから立ち直り、再びの人気作家として活躍していた。しかし、穏やかな共同生活を揺るがす事態がやってくる。コーキのファンを自称するロリータファッションの美少女がやってきたのだ。

 正直、いい本を読んだと思います。
 辻村版「トキワ荘」とも言うべき「スロウハイツ」。住人それぞれの物語が時間軸もまちまちに描かれ、読んでいる最中には取り留めもないような印象を覚えることもあります。
 しかし、それらのすべては最終章のために書かれたのです。「二十代の千代田光輝は死にたかった」というこのひとつの章に寄与するためだけに存在しているのです。
 とにかく伏線の回収力が抜群なのです。本来こういうミステリ的な読み方をすべき作品ではないかもしれないけれど、様々なエピソードが回収される様子がとても心地よく、そしてうれしいのです。作品の構造としては複雑ではなくむしろシンプルなので、よりわかりやすく、しかも加速を続けながら読むことができます。ページを繰る手が止まらないというのはこういうことなんでしょう。
 内容は全く異なるのですが、若竹さんの『ぼくのミステリな日常』を思い出しました。あの連作短編集の最後でそれまでのすべての短編が貫かれるような感覚が甦ります。この『スロウハイツの神様』も、各章が短編とまではいかないまでも各登場人物ごとの物語という趣きで、最後に真実が明かされ表と裏が符合するのです。読んでいていよいよミステリから離れるのかとも思いましたが、僕にとってはこれは間違いなく広義のミステリです。

 また、伏線の回収云々だけでなくキーワードの使い方もなかなか巧いですね。エピソードに出てきた言葉の1つに過ぎないものが多くの伏線に意味を持たせ、エピローグでは最後を閉める切り札として効いてくるのです。最終章で驚きと感動を与え、その上さらにエピローグでしっかりと物語にけりをつける。やってくれます。

 ちなみに『ぼくのメジャースプーン』と同様に、この作品も旧作とリンク。『凍りのくじら』のあの人が登場します。こういうの、ちょっとうれしいですね。
2007年3月18日読了
2007.03.20 Tuesday 20:21 | た行(辻村深月) | comments(0) | trackbacks(0)

辻村深月『ぼくのメジャースプーン』

ぼくのメジャースプーン
ぼくのメジャースプーン辻村 深月

講談社 2006-04-07
売り上げランキング : 55529

おすすめ平均 star
star一人称だから描ける細かな心理描写
star心と罪の重さを量るメジャースプーン
starおもしろい!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 不思議な力を持っている「ぼく」は小学4年生。幼なじみのふみちゃんと仲がいいことが自慢だったけれど、3ヶ月前、大好きだったうさぎが惨殺されてからふみちゃんはショックのあまり自分の殻に閉じこもってしまった。だから「ぼく」はなんとかしたい、この力を使って・・・

 復讐、罪と罰、生命、『ぼくのメジャースプーン』はそういうものに焦点を当てた作品です。でも、説教臭さのようなものはありません。
 おそらくは答えが出ないであろう問題に対して、真っ向からぶつかっていく「ぼく」。絶対に正しいという答えは無いと思うけれど、絶対に間違っている答えはあるだろうし、何よりも考えるという行為は正しいことでしょう。それをこれだけの物語にしてしまった辻村さんの力量に感服。格段にうまくなった気がします。「ぼく」が一人で思い悩むような話じゃないのがいいのかもしれません。

 「ぼく」との対比というわけではないでしょうが、秋先生の大人のかっこよさもすばらしい。あの疑問というか謎も明らかになります。こういった形で少しずつでも作品をリンクさせているのは結構好きだったりします。秋先生がレギュラー化する形でも、他の登場人物でもいいので、次もリンクさせてほしいなぁ。
2006年6月9日読了
2006.06.12 Monday 00:00 | た行(辻村深月) | comments(0) | trackbacks(0)