こんな夜だから書庫に行こう

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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

近藤史恵『ヴァン・ショーをあなたに』

評価:
近藤 史恵
東京創元社
¥ 1,575
(2008-06)
Amazonおすすめ度:
温まります。
目指せ!ミステリ界の「美味しんぼ」
続編!
 「悪くない」。そんな名前を持つビストロ・パ・マル。従業員4人と規模は小さいが、フレンチ好きの常連が多く、味は確かな素敵な店だ。三舟シェフは無口だけれど、客が持つ悩みやちょっとした事件を、厨房にいながら名推理でたちまちに解いてしまうのだった・・・

 『タルト・タタンの夢』に続く「ビストロ・パ・マル」を舞台とした7編による短編集。
「錆びないスキレット」
 手入れさえされていれば錆びないはずのスキレット。ところが、田上夫妻の場合はしっかり手入れしても・・・スキレットに秘められた悲劇。ちょっと歪んだ考え方が悲しみをさらに深いものにしています。煮干しの風呂敷包みを背負った猫ってかわいらしいですね。
「憂さばらしのピストゥ」
 ベジタリアンの女性客が話した他店のシェフの言葉。三舟シェフと志村さんは顔を見合わせた・・・『自由じゃない』と思っているうちは、自由にはなれない。すごくわかる気がします。プライドの持てる仕事をしたいものです。
「ブーランジュリーのメロンパン」
 オーナーの小倉さんが新たに持つパン屋。しかし、店をまかせられたふたりの間で意見がまとまらない・・・パンの好みって結構ありますよね。リーンなパンもリッチなパンもいいけれど、何よりも焼きたてのものがおいしいです。ミステリとしてはちょっと弱い感じ。
「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」
 いつもオーダーするから「マドモワゼル・ブイヤベース」。ひとりで来店するのが常の彼女が、その夜は二名で予約を入れていた・・・確かに図々しい。いや、それくらいでないと務まらないのかもしれませんが。動揺している三舟シェフがなんとも微笑ましい。
「氷姫」
 杏子が出ていった。リストカットを繰り返していた彼女は、自分のもとで落ちついていたように思えたのだが・・・氷という彼女が好きだったアイテムが効果的に使われた一編。報われない恋と氷の冷たさが悲しみを増幅させます。
「天空の泉」
 トリュフのオムレツが絶品だという話を思い出し、向かったレストラン。偶然出会った男に旅に出た理由を話すことになった・・・若い三舟シェフが青臭く、そして少しキザに見えます。これもフランスという土地柄なのでしょうか。
「ヴァン・ショーをあなたに」
 ルウルウと三舟と三人で行ったマルシェ・ド・ノエル。夢のようと評判のミリアムおばあちゃんのヴァン・ショーは赤ワインではなかった・・・家族の絆と思いを伝えることの大切さが描かれます。ヴァンショーを口にせずとも温かく、やさしい気持ちになります。

 前作以上にミステリ分は少なめ、むしろパ・マルや三舟の修業時代のちょっとした出来事を記したような作品集。ミステリに固執していないところがこのシリーズの良さを引き出している気がします。
 語り手を必ずしも高築に固定せず、後半三編はそれぞれ異なる人物が語り手を担当。特に「天空の泉」「ヴァン・ショーをあなたに」の二編は、三舟のフランス修業時代に舞台を移していて、今までとはかなり異なる雰囲気の作品に仕上がっています。
 いつもおいしそうなフレンチが山ほど出てくるこのシリーズ。読んでいて本当におなかがすいてしまいます。次の登場がいつなのか、楽しみです。

収録作:「錆びないスキレット」「憂さばらしのピストゥ」「ブーランジュリーのメロンパン」「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」「氷姫」「天空の泉」「ヴァン・ショーをあなたに」
関連作:『タルト・タタンの夢
2008年9月18日読了
2008.09.22 Monday 16:17 | か行(近藤史恵) | comments(0) | trackbacks(0)

近藤史恵『タルト・タタンの夢』

評価:
近藤 史恵
東京創元社
¥ 1,575
(2007-10)
Amazonおすすめ度:
フレンチ美味しんぼ
おいしいお料理にほんわかミステリーをどうぞ♪
 ギャルソンの高築が勤めるフレンチ・レストラン「ビストロ・パ・マル」は、従業員4人と規模は小さいが、フレンチ好きの常連が多く、味は確かな素敵な店だ。三舟シェフは無口だけれど、客が持つ悩みやちょっとした事件を、厨房にいながら名推理でたちまちに解いてしまうのだった・・・

 「ビストロ・パ・マル」を舞台とした7編による短編集。
●「タルト・タタンの夢」
 結婚を間近に控えた常連の西田さんは、婚約者の手料理を食べて体調を崩した。同じものを食べているはずなのに・・・なるほど、さっそくフレンチをうまく絡めた話ですね。この方面には全く知識がないのでわかりませんでしたが、つかみにはよかったのでは。
●「ロニョン・ド・ヴォーの決意」
 忌避すべき客、粕谷さん。彼は偏食が激しく、食べられるものの方が少ない。彼が連れてきた女性は、彼の妻は料理の下ごしらえが足りず、愛情に欠けていると言い放つ・・・夫婦の真髄を見せつけられたとでもいう感じ。そのとき、その一瞬が良ければそれでいいというものではないですから。
●「ガレット・デ・ロワの秘密」
 志村シェフの奥さんはシャンソン歌手。パ・マルでのクリスマスコンサートのあと、彼女はガレット・デ・ロワを前にフランス時代の不思議な出来事を語りだした・・・フランスの文化と人間の感情をうまく組み合わせた作品。ご馳走さまと言いたくなる話だけれど、そこに行き着くまでの心理がおもしろいです。
●「オッソ・イラティをめぐる不和」
 連日、一人でやって来るようになった脇田さん。実は奥さんに家を出て行かれたという。原因には心あたりがないと言うが・・・これは恐ろしい話。心あたりがある人はかなりいると思うのですが。
●「理不尽な酔っぱらい」
 萩野屋の主人は高校時代に甲子園を目指していたが、合宿中に後輩が飲酒による暴力事件を起こして予選を辞退せざる得なくなったという。だが、合宿所には一滴も酒がなかった・・・ほかにあやしいところはないので、どこに仕掛けたかは明らかなのですが、思いもよらぬ仕掛けだったのでびっくり。不祥事の話のなのでちょっと重苦しく感じたのですが、オチがきれいに流してくれました。
●「ぬけがらのカスレ」
 かつてフランスに滞在していたエッセイストが予約時にリクエストしたのは鵞鳥のカスレ。エッセイを読む限り、彼女にとっては嫌な思い出の残る料理のはずだが・・・「ガレット・デ・ロワの秘密」同様、きれいな組み合わせ。タイトルがうまいですね。
●「割り切れないチョコレート」
 パ・マルのボンボン・オ・ショコラを非難した客は、最近評判のチョコレート専門店のショコラティエ。試しにその店のチョコレートを買ってみると、その詰め合わせはすべて素数だった・・・それが真相かどうか定かではないけれど、心温まる話。ただ、素数でなくても奇数でいいと思うのですが。

 全体的に温かく、そしてやさしい作品が揃った作品集。日常の謎だから決して大きな謎ではなく、尺も短いのですが、粒ぞろいではずれがありません。どの作品にも別々のフレンチを絡めているのもポイント。
 探偵役の三舟さんは無口ということだったけれど、なんだかそんな風に感じられなくて、むしろシーンによっては饒舌な印象も。たちどころに解決してしまうように見えるので、もっと逡巡するようなところがあってもよかった気がします。
 近藤さんは長編を得意としているイメージが強かったのですが、短編集もなかなかいいですね。「錆びないスキレット」「憂さばらしのピストゥ 」「ブーランジュリーのメロンパン」「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」といったところも早く一冊にまとめてほしいところです。

収録作:「タルト・タタンの夢」「ロニョン・ド・ヴォーの決意」「ガレット・デ・ロワの秘密」「オッソ・イラティをめぐる不和」「理不尽な酔っぱらい」「ぬけがらのカスレ」「割り切れないチョコレート」
2007年11月17日読了
2007.11.19 Monday 21:55 | か行(近藤史恵) | comments(0) | trackbacks(1)

近藤史恵『サクリファイス』

評価:
近藤 史恵
新潮社
(2007-08)
Amazonおすすめ度:
読み終わってロードレースを観たくなってしまう
ミステリーと呼べるかどうか疑問だが、読み応えあり。
時間つぶし用
 陸上競技で将来を嘱望されていた白石誓は、高校時代に恋人と別れたトラウマからサイクルロードレースに転向した。それは、エースの勝利のためならアシストは犠牲になることも厭わない競技。誓はチームのアシストとしてツール・ド・ジャポンに出場し、エースの石尾を超える活躍をしてしまうが・・・

 ミステリと最近の流行のように思われる青春スポーツ小説を組み合わせた感のある作品。前半はツール・ド・ジャポンを舞台に、サイクルロードレースの楽しさ、厳しさと、誓の成長を描くストーリー。しかし、後半に入って一転、ミステリの様相を呈していきます。
 サイクルロードレースは日本ではマイナーな部類に入る競技。それだけに前半はやや説明的にツール・ド・ジャポンでの誓の活躍が描かれています。しかし、これが全く長いとは感じないのです。それどころか競技の魅力が満載。紳士のスポーツであり、世界一過酷なスポーツであり、そして、エースのために働くアシストの存在の上に成り立つスポーツ。アタックをかけるタイミングや位置取りによる駆け引きのおもしろさなど、本当に興味深いものです。また、誓だけでなくエースの石尾、若手の有望株伊庭など、登場人物がいずれもいきいきと描かれています。この作品がミステリであることを忘れてしまうくらい。

 200ページあまりの長さ、しかも後半中心ということもあり、ミステリとしては決して複雑とは言い難い構造。ですが、人間くさい物語の中で、徐々に明らかになり、そのたびに二転三転し世界を変えていく真相は、まさにこの作品のために用意されたかのようなもの。多くは語れませんが、その不可分な組み合わせに大満足なのです。
 ミステリが好きな人、サイクルロードレースが好きな人はもちろんのこと、どちらにも当てはまらなくても読んでほしい作品です。おすすめ。
2007年10月30日読了
2007.11.01 Thursday 11:44 | か行(近藤史恵) | comments(0) | trackbacks(1)

近藤史恵『モップの精は深夜に現れる』

モップの精は深夜に現れる
モップの精は深夜に現れる近藤 史恵

実業之日本社 2005-02
売り上げランキング : 164292


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 シリーズ前作『天使はモップを持って』に引き続き、オフィスビルの清掃作業員キリコが大活躍する短編集。前作が大介の一人称だったのに対し、1編ごとに別の主人公がキリコに救われる様を一人称で描いています。

●「黒い芽」
 娘とのコミュニケーションに悩む栗山。職場には少々困った新しい部下が二人、そして新たにやってきた上司は職場の不正を暴くことに定評があった・・・社内のからくりを明らかにするだけではなく、栗山家にふたたび暖かさを取り戻してしまうキリコ。それにしてもこんな考え方の上司は持ちたくないものです。
●「鍵のない扉」
 猫アレルギーだった社長が病死した。職場には不自然なほど大量の猫の毛が残されていた。はたして本当に病死なのか・・・人が死んでいるからというわけではないですが、4編の中で一番ミステリらしいかも。
●「オーバー・ザ・レインボー」
 ケンゾーにサーシャと二股をかけられていた葵。しかもサーシャは妊娠していた。身に覚えがない悪戯メールの疑いをかけられたり、屋上に閉じ込められたりと葵の受難は続くが・・・美しくなることに魅せられた社会の出来事。代わりのいないオンリー・ワンにはなかなかなれないですよね。
●「きみに会いたいと思うこと」
 キリコが旅行に出てしまった。突然、しかも行き先もつげず1ヶ月も。祖母の面倒はキリコが事前に手配した施設で見てもらっているし、キリコから定期的にメールが届いているが・・・ここでようやく大介が登場。キリコが謎を解くだけでなく、こういう話が入っているところもこのシリーズの魅力のような気がします。

 軽快なタッチで書かれているし、読みやすいので重苦しさのようなものとは無縁。全体としては人間の悪意というよりは人間の弱さを中心にすえた短編集かな。シリーズものですが、前作を読んでいなくても特に問題はないでしょう。ただ、読んでおいたほうが楽しめるとは思います。
 なんとなく前作の方がキリコが大人っぽかった気がするのですが、気のせいでしょうか?

収録作:「黒い芽」「鍵のない扉」「オーバー・ザ・レインボー」「きみに会いたいと思うこと」
関連作:『天使はモップを持って
2006年2月6日読了
2006.02.08 Wednesday 00:00 | か行(近藤史恵) | comments(0) | trackbacks(0)

近藤史恵『天使はモップを持って』

天使はモップを持って
天使はモップを持って近藤 史恵

文藝春秋 2006-06
売り上げランキング : 97007

おすすめ平均 star
star名探偵の条件は人の痛みが分かること。
star少々の違和感

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 オペレータールームに配属された新入社員の梶本大介。この会社には一風変わった清掃作業員がいた。名前はキリコ。ピアスを2つも3つもしたような派手な外見、それでいて掃除の腕は超一流。おまけに彼女は社内で起きた様々な謎も次々と解決していく・・・

 「週刊小説」誌に掲載された作品に、書き下ろしのものを加えた短編集。
 かなり軽い感じのミステリで、同じ近藤作品でもノリや雰囲気は今泉文吾の歌舞伎ものあるいは『青葉の頃は終わった』などとはかなり色合いが違います。読みやすく、おもしろい作品集でした。
 ただし、謎の奥底にはかなり深くて重いものが見え隠れしています。

 ミステリとしてはトリック等が弱いのですが、各短編の中では、特に「ピクルスが見ていた」「桃色のパンダ」の2編が印象深く、どちらも意外な動機が切ない短編です。
 最後に書き下ろしの「史上最悪のヒーロー」が置かれていますが、これは・・・ちょっと見え見えで予想がついてしまいました。今年、続編の『モップの精は深夜に現れる』が刊行されていますが、この後どんな風につなげられているのか、かなり気になります。

収録作:「オペレータールームの怪」「ピクルスが見ていた」「心のしまい場所」「ダイエット狂想曲」「ロッカールームのひよこ」「桃色のパンダ」「シンデレラ」「史上最悪のヒーロー」
関連作:『モップの精は深夜に現れる
2005年11月7日読了
2005.11.08 Tuesday 00:00 | か行(近藤史恵) | comments(0) | trackbacks(0)