こんな夜だから書庫に行こう

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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

恩田陸『夏の名残りの薔薇』

評価:
恩田 陸
文藝春秋
¥ 620
(2008-03-07)
Amazonおすすめ度:
ここはいつでも悪意に満ちているんだもの
人の記憶、妄想と現実
 山奥のクラシックなホテルを会場に、毎年秋に催されるパーティー。親戚や関係者を客として招き、待ち受けるのは沢渡家の三人姉妹、伊芽子、丹伽子、未州子。だが、ある人物が変死を遂げたことから、今年のパーティーは例年とは違うものになっていく・・・

 文藝春秋の「本格ミステリ・マスターズ」から刊行された作品。本格ミステリというジャンルとしての出来はさておき、恩田陸というジャンルの中心にあるような作品でした。
 山奥のクラシックなホテルというのは、それだけでワクワクするようなミステリのシチュエーションです。しかも、それを用いるのが恩田陸。どれだけ幻想的でどれだけトリッキーなミステリを見せてくれるのか、期待が高まります。
 実際、かなり幻想的な作品でした。シチュエーションはもちろんのこと、虚言癖のある三姉妹や謎の多い教授、不倫の上に愛しあう姉弟など、一癖も二癖もある登場人物たちとその複雑な関係、そしてもうひとつの要素がなんとも不思議で幻想的な世界をつくりあげています。これぞ恩田陸。大いに楽しませてくれます。

 その一方で、上で伏せた“もうひとつの要素”が本格ミステリというジャンルで通用するものなのか、判断しかねる部分がありました。どうなのでしょう。「本格ミステリ・マスターズ」ということで強く本格ミステリを意識している方にはあまり評判がよくないかもしれません。
 また、作中には恩田さんがインスピレーションを受けたという『去年マリエンバードで』からの引用部分が多く挿入されていますが、内容と関係ないと思われるだけにかえって読みにくく、残念でした。
 この幻想的な雰囲気を持つミステリ、読み手を選ぶかもしれませんが、選ばれた読み手を十分に楽しませてくれる作品です。
2008年5月19日読了
2008.05.26 Monday 20:24 | あ行(恩田陸) | comments(0) | trackbacks(0)

恩田陸『木洩れ日に泳ぐ魚』

評価:
恩田 陸
中央公論新社
¥ 1,470
(2007-07)
Amazonおすすめ度:
人の心の不思議を描いた、演劇的な作品。
おもしろいけど。
面白い。
 すべての荷物が運び出された部屋。この部屋で過ごすのも今夜が最後。だから、確かめなければいけない。高橋千浩と藤本千秋、二人は互いに疑っていたのだ。一年前のあの日、あの男を殺したのは、目の前のこの人に違いないと・・・

 たった一晩の二人のやりとり。最後だからとお互いに胸の奥にしまっていたものを吐き出したかのような濃密な会話。まるで二人芝居を見ているかのような展開で、緊迫感がありおもしろかったです。
 随所に恩田さんらしい巧さが見られます。特にこの二人だけのやりとりの中に最近のこと、一年前のこと、そして幼い頃のことと時を越えていろいろなエピソードを組み込み1つの物語として仕上げるあたりは本当に巧い。

 ただ、最初から最後まで読んでいる間中もやもやとした感覚があり、それが晴れることはありませんでした。真相として解き明かされたものには裏付けがなく、いくら登場人物たちが確信を持ったとしても、読み手までが納得するようなものではなかったように思います。このストーリーを二人芝居にする限界なのでしょうか。謎解きとして読むのが間違いなのでしょうか。まあ、僕にはちょっと合わなかったということで。
2007年9月28日読了
2007.10.03 Wednesday 11:49 | あ行(恩田陸) | comments(0) | trackbacks(0)

恩田陸『朝日のようにさわやかに』

評価:
恩田 陸
新潮社
¥ 1,470
(2007-03)
Amazonおすすめ度:
面白い!
じわじわくる
短編の面白さ
 『図書室の海』以来5年ぶりの短編集。
 全体的にホラー色が強い作品が揃っています。わずか数ページしかないような掌編であっても、恩田さんらしさがひしひしと伝わってるようなものばかりです。現実から少し遊離していて、それでいてリアリティも感じられる、なんとも不思議な感覚です。目に見える恐怖というよりも、心に訴えかけるような恐怖を感じます。

●「水晶の夜、翡翠の朝」
 既読。『殺人鬼の放課後』参照。
●「ご案内」
 この位置に置かれたのが不気味な掌編。
●「あなたと夜と音楽と」
 毎週放送されるラジオ番組にあわせて過去の犯罪を暴く手段がおもしろい。
●「冷凍みかん」
 なんとも言えない恐ろしさ。今もどこかで冷凍みかんが溶けている?
●「赤い毬」
 不思議な世界と襲いかかる海。「ある映画の記憶」を思い出しました。
●「深夜の食欲」
 表現し難い恐ろしさがじわじわと押し寄せてきます。ドアの向こうは?
●「いいわけ」
 北のあの人かそれとも海の向こうのあの人か。どちらにしろお父さんは・・・ほがらかな中にある恐怖。
●「一千一秒殺人事件」
 不思議な家での不思議な出来事は不思議なまま。
●「おはなしのつづき」
 まいった。この切なさはたまらない。
●「邂逅について」
 エッセイ?。不思議な世界、不思議な作品との出会い。
●「淋しいお城」
 ミステリーランドの予告編。恐ろしさと、どうしようもない切なさ、哀しさをあわせ持つ短編。
●「楽園を追われて」
 あとがきにあるように普通のお話。『黒と茶の幻想』を思い出しました。
●「卒業」
 スプラッターなんだけれどとってもシュール。この設定の長編を読んでみたい気もします。
●「朝日のようにさわやかに」
 あちこちへ飛躍した話が落ち着く様が見事。でもさわやかとは思えません。サントリーのPR誌に“朝日”というのも狙いでしょうか。

 ああ、何度“不思議”という言葉を使ったでしょう。でも、本当にそんな作品集なのです。

収録作:「水晶の夜、翡翠の朝」「ご案内」「あなたと夜と音楽と」「冷凍みかん」「赤い毬」「深夜の食欲」「いいわけ」「一千一秒殺人事件」「おはなしのつづき」「邂逅について」「淋しいお城」「楽園を追われて」「卒業」「朝日のようにさわやかに」
2007年7月24日読了
2007.07.25 Wednesday 19:43 | あ行(恩田陸) | comments(6) | trackbacks(0)

恩田陸『黒と茶の幻想』

黒と茶の幻想 (上)黒と茶の幻想 (下)
黒と茶の幻想 (上)恩田 陸

講談社 2006-04-14
売り上げランキング : 49701

おすすめ平均 star
starまさに恩田ワールド
star言の葉
star詩情豊かな、悲しきかな的娯楽小説

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黒と茶の幻想 (下)恩田 陸

講談社 2006-04-14
売り上げランキング : 49664

おすすめ平均 star
star森をさまよう
star狂言回し
star期待はずれ

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 学生時代の同級生利枝子、彰彦、蒔生、節子の4人は、卒業から十数年を経て世間から隔絶されたようなY島へ旅する。それは美しい謎を解き、過去を取り戻すことを目的とした旅だった。4人はひたすら雄大な自然の中を歩き、持ち寄った謎や疑問に思いをはせる。その行き着く先は、あの日あのときそしてあの人・・・

 『三月は深き紅の淵を』にちらりと登場する作品、それがこの『黒と茶の幻想』です。
 ストーリーとしては4人がただひたすらY島の大自然の中を歩く、ただそれだけです。ただし、4人とも呆れるほどによく喋り、そしてよく思い出してくれます。
 利枝子から彰彦、蒔生、節子という順で1章ずつ視点が変わっていきます。この構成が絶妙で、それぞれの視点が見聞きしたこと、感じたことを用いて巧みに展開されていきます。ただし、利枝子視点が第一章だったためか、常にリーダーシップをとる彰彦ではなく利枝子が中心にいるような錯覚を覚えました。
 また、歩く過程でそれぞれに語る小さな謎(落とされる漬物石、同じ格好をした2人の老婆etc.)がいくつもとりあげられます。それ自体は興味深いものもあります。4人がどんな結論を出して納得させるのかと。ただ、最終的に放り出されたかのようにもっともらしい真相にたどり着かなかったりして、物語トータルで考えると余計な回り道をしている気がしないでもありません。ここからまたいくつもの長編へと展開してシリーズを広げていったらすごいのですが。
 『ネバーランド』とか『夜のピクニック』とか、なんとなく似たようなイメージはしてしまうのですが、それでも恩田さんはやっぱり上手いですね。物語の匠です。

 もっとも残念だったのは憂理のことでした。作中における一番の謎として、せっかく再登場したのですが、『麦の海に沈む果実』のときとはちょっと違うイメージ。しかもこういう形での再登場とは思いもしませんでした。本当に残念。『黄昏の百合の骨』での理瀬には成長が見えただけに結構ショックですね。
 ふたたび4人が旅に出るときに、残された謎をキッチリ解決してほしいです。賭けはどちらが勝つのでしょうか。

関連作:『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実
2007年5月12日読了
2007.05.15 Tuesday 19:07 | あ行(恩田陸) | comments(0) | trackbacks(0)

恩田陸『黄昏の百合の骨』

黄昏の百合の骨
黄昏の百合の骨恩田 陸

講談社 2007-04-13
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おすすめ平均 star
star水野理瀬クロニクル

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 「自分が死んでも、水野理瀬が半年以上ここに住まない限り家は処分してはならない」祖母の遺言に従い、かつて暮らした白百合荘に戻って2人の叔母との生活を始めた理瀬。「魔女の家」とも呼ばれる洋館での生活で、理瀬はいくつもの怪事件に巻き込まれてしまう。行方知れずになった少年はどこへ? 祖母の死の真相は? そしてジュピターとは?

 『麦の海に沈む果実』の続編にあたる恩田ミステリ。高校生になった理瀬はすっかり「あっち側」の世界にスタンスを移し、悪女と呼んで差し支えない雰囲気を身にまとっています。しかし、時折見せる子どもらしい面があり、未だ少女から大人への移行期にあるのかなとも思いました。その辺の微妙なバランスがなんとも興味深いです。「睡蓮」で登場する幼少期の理瀬や、『麦の海に沈む果実』の学園での理瀬と比較してしまったり。

 こういった物語の場合、大概は「この人が死んでしまって、こっちの人が犯人」なんて感じで、登場したときになんとなく想像がつくことが多いのですが、今回はちょっとびっくり。おそらく死んでしまうだろうと思った人は案の定死んでしまったのですが、思いもよらない人があんな風になったり、こんなふうに変貌したりと中盤からは全く驚きの連続でした。
 でも、この物語はきっとそういうことに主眼を置いていないですよね。ミステリ的なことよりも、この作品の世界を構築すること、そして水野理瀬という一人の女性を描くことに力が注がれているようでした。理瀬の変化と成長、そして「こっち側」との決別の物語ですね。

 作品全体に耽美的というか幻想的な雰囲気が漂い、それだけで作品世界にどっぷりと浸かってしまったかのよう。シリーズ続編にあたると思われる『薔薇のなかの蛇』も「メフィスト」誌上で連載が開始され、ちょっと読んでみましたがまたまた違った舞台のようです。単行本としてまとまるのはまだまだ先のことですが、こちらも楽しみです。

関連作:『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』『黄昏の百合の骨』『図書室の海』『殺人鬼の放課後
2007年4月24日読了
2007.04.27 Friday 11:00 | あ行(恩田陸) | comments(0) | trackbacks(0)