こんな夜だから書庫に行こう

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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

石持浅海『君の望む死に方』

評価:
石持 浅海
祥伝社
¥ 880
(2008-03)
Amazonおすすめ度:
巧みな心理描写
凝るところを間違えた
共感、はあまりできませんでした。
 癌で余命幾許もないことを宣告されたソル電機の創業社長・日向貞則。日向は自分に恨みを持つ梶間晴征に殺され、しかも未来の経営幹部である梶間が殺人犯にならないために周到な計画を練った。その舞台は熱海にある保養所でのお見合い研修・・・

 『扉は閉ざされたまま』に続く倒叙ミステリの傑作。まさかふたたびあの人(『扉は閉ざされたまま』を読んでいれば探偵役の正体は登場時から自明ですが、探偵役は終盤まで明らかにされないのでここではあえて伏せます)が探偵役として登場するとは思ってもいなかったのですが。

 被害者(予定)が主役という、相変わらず石持さんらしい変化球な設定。被害者(予定)、犯人(予定)、そして探偵役の三人が見えないところでせめぎ合うスリリングな展開が見事。特に日向の仕掛けた「殺されやすくなるためのトラップ」を、こっそり無効化していく探偵役がすばらしいです。
 従来、古今東西の名探偵は事件がおきてからその犯人を推理し、探し当てるのが一般的でした。まず事件が起き、被害者が発生して初めて、名探偵の活躍する舞台が誕生します。ところがどうでしょう。この作品の探偵役は、事件の発生を未然に阻止すべく、日向の仕掛けをことごとく無効化するばかりか、事件に直接関係しない第三者の心理を巧みに操り、梶間が犯罪を起こしにくくする防御策まで発動するのです。おまけに事件発生前から謎解きを披露してしまいます。これはちょっと新鮮な探偵像でした。(ただし、某かの事件が発生してしまったのはプロローグのとおり)
 また、自己正当化により日向の出した結論も突拍子もなく偏執的でなかなかおもしろいものでした。

 こんな設定を導き出し、ミステリとして仕立てた石持さんに拍手。この切れ者探偵を生かした作品をまた読ませて欲しいものです。

関連作:『扉は閉ざされたまま
2008年5月23日読了
2008.05.29 Thursday 19:36 | あ行(石持浅海) | comments(0) | trackbacks(0)

石持浅海『月の扉』

評価:
石持 浅海
光文社
¥ 620
(2006-04-12)
Amazonおすすめ度:
これはツラい・・・。
こりゃないでしょう。。。
これはファンタジーではないのか
 国際会議を控えた沖縄で、羽田行の琉球航空便が離陸直前にハイジャックされた。それぞれ乳幼児を人質にした3人の犯人達の要求は、沖縄県警に誘拐犯として逮捕された男を時間までに空港へ「連れてくる」ことだった。だが、予想もしていない事態が起こる。人質となった子どもの母親が機内のトイレで不自然な死体で発見されたのだ。ハイジャック犯は機内にいた座間味島土産のTシャツを着た男に、事件の真相究明を指示した。

 ハイジャックという冒険小説的な要素と不可能状況での死という本格ミステリ的要素を融合させることに成功した作品。この緊迫した状況下で行われる推理が非常におもしろいものでした。部外者に近い座間味くんにとって新たな事実が明らかになるたびに変化していく推理。下手な推理合戦よりも楽しめます。特に、ハイジャックされた飛行機の中という状況設定が、現場への立ち入りや死に至らしめた道具の持込などに影響し、十分に生かされているのがよかったです。

 ただ、作品の土台となるキャンプの「師匠」石嶺が全く魅力的に見えないのが残念。カリスマカリスマと警察側に持ち上げさせるのが、余計に白々しく思えてしまいました。そのためか、キャンプ関係者の行動や心情に論理的な理解はできても、心理的に納得がいかないという感じです。もっとも、石嶺のような特殊な人物は深く掘り下げて書こうとすればするほど、嘘臭くなってしまうものかもしれません。
2007年9月23日読了
2007.09.24 Monday 20:11 | あ行(石持浅海) | comments(0) | trackbacks(0)

石持浅海『セリヌンティウスの舟』

セリヌンティウスの舟
セリヌンティウスの舟石持 浅海

光文社 2005-10-20
売り上げランキング : 93978

おすすめ平均 star
star長すぎる。
starで、何だっけ?
star何かが足りないか、何かが多すぎるのか

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 荒れ狂う大時化の海で遭難しかかったダイバー6人は、全員互いの身体をつかんで輪を作り、救助を待った。知り合いにすぎなかった6人は、この体験を通じ信頼で結ばれたかけがえのない仲間になったのだった。しかし、ダイビングをしたある日の夜、仲間の一人米村美月が青酸カリで服毒自殺をしてしまう。四十九日の法要のあと集まった仲間たちは、現場の写真を見て不審を覚える。なぜならば、写っていた青酸カリが入った小瓶は、キャップが閉められた状態で机の上に転がっていたから。

 ノベルスサイズ200ページちょうどとコンパクトに収められた作品。そしてその大部分が自殺した美月以外の5人による推理合戦というか討論になっています。「小瓶のキャップが閉められていた」ことと「机の上に転がっていた」ことという些細とも思われる2点から、「誰かが自殺を手助けしたのか?」「手助けしたとするなら誰なのか?」という展開に膨らめていて、その議論自体は確かにおもしろいものでした。

 ただし、ゆるぎない信頼関係にある仲間だからとはいえ、あまりにも殺人や事故の可能性に対する論考が少ない気がします。
 また遭難寸前という修羅場をくぐり抜けたと関係ではあっても、これほどまでに盲目的に仲間を信頼することができるのかはなはだ疑問ではあります。この点は実際にこういう体験をしたことはないですから、「ありえる」と言い切られればおとなしく引き下がるしかありません。
 前々から石持さんの作品にはパズラーとしての称賛とともに、「登場人物を理解できない」といったような感想が多くあった気がします。僕が石持作品を読むのは4冊目ですが、今までそういったことはあまり気になりませんでした。しかし、この美しすぎる信頼関係は別です。ちょっとどうかと。まあ、これも異世界の特殊な設定と解釈すればいいのかも。
 それに、美月の自殺の動機もちょっと納得し難いものがあります。まぁ、これも体験したことがありませんから・・・

 ということで、常に一風変わった舞台設定で論理をきれいに表現してくれるのが石持さんの作品。今回はさすがに「警察を呼ばない設定」ではありませんでしたが、警察介入後に「疑い」ではなく「信頼」をキーに「犯人」ではなく「協力者」を探す推理。期待しているだけに残念でしたが、次回作も楽しみです。

2006年1月16日読了
2006.01.20 Friday 00:00 | あ行(石持浅海) | comments(0) | trackbacks(0)

石持浅海『BG、あるいは死せるカイニス』

BG、あるいは死せるカイニス
BG、あるいは死せるカイニス石持 浅海

東京創元社 2004-11-30
売り上げランキング : 201024

おすすめ平均 star
star傑作でしょう
star舞台は破天荒だが、ディテールにこだわった端正で論理的なミステリー
star淡々としたミステリー

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 生まれたときは女性、そして優秀と認められた者だけが男性化する現代日本での物語。男性化候補の筆頭とされていた姉の優子さんが天文部の観測の際に殺された。しかも、この世界では考えにくいレイプ未遂のようなかたちで。はたして優子さんは誰に殺されたのか。そして優子さんが残した秘密と《BG》とは。

 東京創元社の「ミステリ・フロンティア」として刊行された作品。西澤保彦さんを髣髴させるようなSF的な設定なのですが、複雑になりすぎず、非常に消化しやすいような設定でした。
 また、最終的に優子殺しの犯人の謎が、この男性化する世界の設定と密接につながっていて、設定が生かされています。
 ただ、ややご都合主義的な展開かなと思わないでもありません。たとえば、あまりにも警察の捜査がおざなりで道化のように扱われていたりするとか。『水の迷宮』『扉は閉ざされたまま』と傑作を読んできただけに、石持さんについては例え旧作でもより高度なレベルを要求したくなりますので、そのへんは残念でした。それに加えて、解決への過程で登場人物たちの発言の端々をとらえてヒントにすることが多く、憶測的な推理が展開されているという不満が残ってしまいます。

 とにかく、この作品は設定がすべて。この設定が気に食わない、性に合わないということならとにかく、設定を受け入れることができれば楽しめる気がします。
2006年1月3日読了
2006.01.04 Wednesday 00:00 | あ行(石持浅海) | comments(0) | trackbacks(0)

石持浅海『扉は閉ざされたまま』

扉は閉ざされたまま
扉は閉ざされたまま石持 浅海

祥伝社 2005-05
売り上げランキング : 121220

おすすめ平均 star
starこんなクローズドもありですね
starぎこちない
star実に巧妙な作品だ

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 高級ペンションで開かれた大学の同窓会。伏見亮輔は事故を装って新山和宏を殺害することに成功した。すべては計画通りの密室殺人。やがて食堂に集まる時間になり、「どうせ寝不足と花粉症の薬のせいで眠りこけている」と仲間たちは思っていたが、1人碓氷優佳だけは疑問を抱いていた。それは2人の頭脳戦の始まりだった・・・

 殺害シーンから始まる倒叙推理の傑作。殺害現場の新山の部屋は鍵やドアストッパーで物理的な密室になっているのと同時に、精神的に開けられない空間になっていて、中に立ち入ることなく推理するという非常に変わった形式です。こういう変わった空間をつくるのは非常にうまいですよね。
 そして、殺人の動機とそれが密室殺人でなければならなかった理由が密接につながっていて、その場所がこの高級ペンションでなければならなかったことがよくわかります。ただ、やはりこの動機で殺人を犯さなければならなかったのかと言われると疑問が残ります。説明がつく動機ではありますが。
 また伏見と優佳の頭脳戦は、伏見が他の仲間を計画的にミスリードしようとし、ほぼそのとおり進む中で優佳だけがその齟齬を突いて修正し、結果として伏見を追い詰めていきます。徐々にミスが明らかになり伏見が追い詰められていくさまには参りました。
 石持作品はまだ2作しか読んでいませんが、どちらも一風変わった閉鎖空間ものでおもしろかったです。
2005年8月12日読了
2005.08.14 Sunday 00:00 | あ行(石持浅海) | comments(0) | trackbacks(0)