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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

伊坂幸太郎『モダンタイムス』

 突如失踪した先輩五反田に代わってあるプロジェクトを押しつけられたSEの渡辺拓海。ただ出会い系サイトの入力項目を1つ増やすだけなのに、そのプログラムを解析して、あるキーワードで検索すると秘密のサイトにたどり着くことを知ってしまった。それは災難の始まり・・・

 『魔王』から数十年後の世界。「呼吸」の安藤詩織が登場します。
 今にして考えれば、『魔王』も『ゴールデンスランバー』も、そしてこの『モダンタイムス』も国家や社会と個人との関係、すなわち国家システムに守ってもらえるとは限らない、妄信してはいけないということを描いているように思います。決して国家や社会への不審を煽るのではなく。
 検索から始まる監視と情報の操作。数十年後と言わず、現在でも人知れず行われているのかもしれないこと。私たち人間はなんて無防備なのでしょう。
 そんな小難しいことを考えなくても、この作品は渡辺拓海に降りかかる恐怖と災難の根源を目指すエンターテインメントとして十分に楽しませてくれます。

 ただし、今までの作品にあった伊坂さんらしさが薄いように感じました。週刊誌連載の影響でしょうか、シーンがややぶつ切りになっているような印象があります。なんとなく、きれいにつながっていないのです。それに、伏線の回収は張り巡らされたものを怒涛のように回収するというよりも、むしろ説明されないものが多く残されたようでした。他の作品のようにスマートではなく、かなり粗いつくりですし。セリフの言い回しとか確かに伊坂さんなんですけど、あまり伊坂さんの作品というイメージを持たずに読んだほうがよかったかもしれません。
 登場人物の中では、渡辺の妻佳代子のインパクトが抜群でした。何者ですか、あの人。彼女の以前の夫二人はどうしたんだ。ということで、きっとまたどこかで登場してくることでしょう。

関連作:『魔王
2009年2月1日読了
評価:
伊坂 幸太郎
講談社
¥ 1,785
(2008-10-15)
Amazonおすすめ度:
変化球
どうなの?
娯楽から快楽への誘い〜伊坂ワールド

2009.02.09 Monday 19:25 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(48)

伊坂幸太郎『魔王』

評価:
伊坂 幸太郎
講談社
¥ 650
(2008-09-12)
Amazonおすすめ度:
長い長い予告編を読んだような感じ
人は言葉に縛られている
魔王より呼吸の方が好き
 安藤は自分が特殊な能力を持っていることに気付いた。腹話術のように、思ったことを他人に話させる能力。ムッソリーニとの類似する野党の党首・犬養の登場に踊らされる大衆を見て、安藤は実験を始めた。腹話術はどれだけ使えるのか・・・「魔王」

 本の感想を書く中で、多くの方が絶賛している本を低く評価すること、あるいは高い評価を聞かないような本をおすすめすることに躊躇する場合があります。本当にそれでいいのか、誤読や読み飛ばしがあるのではないかと迷ってしまうのです。そう、流されそうになるのです。

 伊坂さんの『魔王』は、特殊な能力を持った兄弟の物語。思ったことを他人に話させることができる能力を持つ兄の物語「魔王」と、ジャンケンや競馬に勝ち続ける能力を持つ弟の物語「呼吸」という中編二作です。
 政治、あるいは憲法といったものを扱う作品ですので、そこに伊坂さん本人の主義主張が表れているのかもしれませんが、それよりも強いメッセージは「考えろ」ということではないかと思います。
 作中に繰り返される「考えろ考えろマクガイバー」という言葉。大衆に押し流されず、常に自分の考えを持つべく考えることの大切さ。そういったもののアピールではないのかと。
 さて、伊坂作品というとやはり巧妙な伏線があげられますが、今回はそういったものを極力排除したつくりになっています。これも作品の内容を意識したものなのでしょうか。その中で、「魔王」の最後の一言はなんとも印象的です。この中編でもっともドキリとさせられた一言かもしれません。この一言が結末のすべてを明示するという意味で非常に効果的です。
 また「呼吸」は、その結末が中途半端に思えるのが残念ですが、同じテーマを違った角度から書いたような作品。視点を安藤の弟潤也ではなく妻の詩織にしたことで、「魔王」とはがらりと異なる雰囲気で進みます。それだけに、こちらのほうが受け入れやすいかも。

 おそらく遠くない未来に読むであろう『モダンタイムス』。そのときには他人に流され迷うのではなく、考えに考え自分の言葉でここに感想を書きたいものです。洪水でも流されない、たった一本の木のように。

収録作:「魔王」「呼吸」
2008年11月4日読了
2008.11.07 Friday 22:01 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(0)

伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

評価:
伊坂 幸太郎
新潮社
(2007-11-29)
Amazonおすすめ度:
著者渾身の一作
謎だけじゃない本
伏線?
 国民的人気を誇る金田首相が仙台で暗殺された! 警察が容疑者として発表したのは青柳雅春という男。彼にとっては首相暗殺なんてまったく身に覚えのないことだったが、容疑者発表の前から彼は警察組織に追いかけられていた・・・

 何度も直木賞や山本周五郎賞の候補になり、その度に“最有力候補”と擬せられることも多かった伊坂さん。これは最高傑作なのでは。
 巨大な陰謀のスケープゴートとして首相暗殺の罪を負わされた青柳が仙台の町を逃げ惑う物語。
 構成が「事件の始まり」「事件の視聴者」「事件から二十年後」「事件」「事件から三ヵ月後」という順番ですから、「事件」を読む前におぼろげながらも事件そのものの輪郭を掴むことができます。ただし、それは先を読む楽しみを奪うものではなく、むしろ増幅させるもの。オズワルドとして青柳がどんな逃げ方をするのか、どんなことが起こるのか、ワクワクさせるのです。
 そのワクワクする逃走路で、いろいろな人に出会い、助けられます。監視社会の中で、彼らが青柳の逃走を助ける様は痛快ですらあります。
 しかし、それよりも森田、カズそして樋口といった学生時代の仲間達の助けがもっとも効いています。長らく連絡を取ることもなかった友の窮地を救おうという心意気にあふれているのです。途中幾度となく挟まれる学生当時のエピソード。そこから10年近くの歳月が流れても変わらないそれぞれの人物像がはっきり表れていて、うれしく感じられます。だから、「だと思った」なんて一言に思わずグッときたりしてしまうのです。

 また、伏線の回収が素晴らしいのです。あらゆるところに引かれた伏線は気持ちよく回収されます。それも、単純に物事を関連づけるだけではなく、それぞれに感動を伴って。エピローグはその極み。伏線回収がこの作品を一段も二段も高く持ち上げていることは間違いありません。
 本当に大満足。伊坂幸太郎、よくやったという作品。極上のエンターテインメント。
 たいへんよくできました。
2008年1月28日読了
2008.01.31 Thursday 13:15 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(0)

伊坂幸太郎『重力ピエロ』

重力ピエロ
重力ピエロ伊坂 幸太郎

新潮社 2006-06
売り上げランキング : 1210

おすすめ平均 star
starうらやましい兄弟愛
star春が二階から落ちてきた。
star未知・悲壮・繋がり

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by G-Tools

 「夏の1冊・2006」として9月末までに読む予定で挙げていた5作のうち、ついに残してしまっていた伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』です。

 泉水と春は半分しか血の繋がらない兄弟。春は母親が性犯罪に遭い身籠った子供だった。ある日、泉水が勤める遺伝子関連の企業が放火された。放火はボヤ程度で済んだが、春は泉水に放火を予言しており、しかも連続する放火はグラフィティアートの近くで起きている法則も突き止めていた。グラフィティアートに残された言葉は何を意味するのか。

 なかなか爽快な物語でした。
 親と子、家族、そしてなにより兄弟という絆に性犯罪を絡ませた青春小説。重くなりがちなテーマを掲げているのですが、独特のスタイリッシュで軽快な文章と挿入される数々のエピソード、そして細かな章立てがテンポよく、「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」という春の言葉をそのまま小説でも表現したような感じがしました。
 文庫化にあわせ追加されたというエピソードが、より人物像を際立たせ、そうせざるを得なくなったことの説得力を増しています。
 正直なところ、序盤はややまだるく感じられたのですが、それが物語の進展とともに急速にペースアップ。特にいくつかの泉水と春が二人で行動するシーンは、緊迫感があったりするためか、かなりノリがよかった気がします。特に落書き犯の家に落書きに行くシーンなど春の高揚が伝わってきてワクワクしました。
 あらすじからミステリと思って読むと大筋で想像がついてしまい期待はずれかもしれませんが、そういった先入観さえなければ展開や言葉の一つ一つを楽しむことが出来る作品です。オススメ。
2006年10月4日読了
2006.10.04 Wednesday 00:00 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(0)

伊坂幸太郎『終末のフール』

終末のフール
終末のフール伊坂 幸太郎

集英社 2006-03
売り上げランキング : 26605

おすすめ平均 star
star伊坂伊坂してないしエンタメエンタメしてないけれど
star帯と内容は微妙に違う
starがんばれコータロー

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by G-Tools

 後悔が1つ。それは今まで、伊坂幸太郎という作家と出会う機会を得なかったこと。

 8年後に小惑星と衝突し、地球が壊滅すると発表されて5年がたった。人類は一時の騒乱状態を脱し、なんとか平穏な生活を取り戻しつつある。それはここ、ヒルズタウンでも。終末を3年後に控え、人々はどのように過ごすことを選択するのか。

 初めて読む伊坂作品『終末のフール』は、切なさと温かさが入り混じった作品集でした。読んでよかったと素直に思えます。
 3年後に迫った終末までの時間をどのように生き、どのように終末を迎えるのか。人生観が問われるようなこの舞台で、自分だったらどうだろうかと幾度となく自問しながら読みました。果たして静かに人類の終焉を待つのか、それとも・・・
 特に2人の子を持つ親として、「太陽のシール」はなかなか考えさせられるのと同時に、読み応えがありました。せっかく授かった子どもなのに、産まれてきたとしても終末までの3年間しか生きられない。それを承知で産むべきか、それとも苦しませないために産まないべきか・・・難しい選択ですよね。あるいはこの終末に「みんなで死ぬことができる」という幸福を見出した土屋。切なさの中に温かさが入り混じり、ちょっぴりユーモアのある典型的な作品でした。妻美咲の優しさと強さもとても魅力的でした。
 正直なところ、この伊坂幸太郎という作家の小説に感動し、これほど高い評価をつける自分を想像していませんでした。これから少しずつ、伊坂さんの作品を読んで生きたいと思います。

 幸福が1つ。それは今、伊坂幸太郎という作家と出会う機会を得たこと。

収録作:「終末のフール」「太陽のシール」「籠城のビール」「冬眠のガール」「鋼鉄のウール」「天体のヨール」「演劇のオール」「深海のポール」
2006年4月16日読了
2006.04.16 Sunday 00:00 | あ行(伊坂幸太郎) | comments(0) | trackbacks(1)