こんな夜だから書庫に行こう

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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』

評価:
米澤 穂信
新潮社
¥ 1,470
(2008-11)
Amazonおすすめ度:
作品の幅の広がりを感じました。
ドキドキさせてくれること間違いなし
バベルの会――幻想と現実の狭間で惑う、儚い者たちの聖域(アジール)
 「バベルの会」。それは大学で上流階級の子女であることを条件に入ることを許されるらしき読書会。そんな良家では大概何名かの使用人を抱えていた。ある者は家事全般を司り、またある者は別荘を管理して主人や来客が顔を見せる日を待ち続けた・・・

 最後の一文の衝撃を売りにした米澤さんの新作短編集。それと知っていたら衝撃が薄まってしまうような予感もしましたが、そんなこともないようです。
「身内に不幸がありまして」
 丹山家の娘吹子に仕える村里夕日。彼女の秘密の手記には、吹子が「バベルの会」読書会を楽しみにする様が記されていた・・・そんなことのために! そう思わずにはいられない。いくらそういう人だからとはいえ、最初からとんでもないものを出してきたなあ。
「北の館の罪人」
 六綱家の別館に暮らすことになった妾腹の子あまり。ところが別館には先客がいた・・・隠されていた裏側とが明らかになるとき、そして最後、思わず二度もドキリとさせられました。読み手以上に登場人物がドキリかも。
「山荘秘聞」
 別荘飛鶏館で客を待ち続ける管理人屋島守子。冬の日、彼女は遭難した登山者を見つけ、飛鶏館へと連れ帰った・・・そっちじゃなくてこっちか。まったくしてやられました。しばらく考えてしまいましたが、よく見るときれいに伏線が張られています。
「玉野五十鈴の誉れ」
 旧家の跡取り娘純香。彼女の誕生日に祖母から贈られたものは、同い年の使用人五十鈴・・・『Story Seller』で既読。ただし、初出のときとは最後の部分が変わっていて、その一文が本当に衝撃的。いや恐ろしい。
「儚い羊たちの晩餐」
 荒れ果てたサンルーム。円卓に置かれた一冊の日記。最初の頁には「バベルの会はこうして消滅した」・・・書き下ろしの一編。さすがにうまくまとめますね。終わりは始まり、です。アミルスタン羊か。

 「最後の一撃」「ラスト一行の衝撃」なんて言葉からは、まるで物語の世界が反転するようなものを想像してしまいますが、この作品集はそういったものではありません。むしろ物語をきれいにまとめる「とどめの一撃」とでもいうような感じです。
 ということで、帯や紹介文からの期待とは少し違うので若干がっかりするかもしれませんが、それを抜きにすれば黒米澤全開の歪んだ素晴らしい作品集。帯のことは忘れて読んでください。
 様々な趣向が凝らしてあり、どれもおもしろくて堪能できるのですが、「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」といったところのわかりやすい一撃がよかったです。もちろん、「玉野五十鈴の誉れ」の強烈なインパクトも。

収録作:「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘聞」「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」
関連作:『Story Seller
2009年2月2日読了
2009.02.10 Tuesday 21:50 | や行(米澤穂信) | comments(0) | trackbacks(46)

米澤穂信『遠まわりする雛』

評価:
米澤 穂信
角川書店
¥ 1,470
(2007-10)
Amazonおすすめ度:
古典部・1年目の活動記録
シリーズ最高傑作!
最後に…
 神山高校に入学し、心ならずも古典部に入部してしまった折木奉太郎。「やらなくてもいいことなら、やらない。やるべきことなら手短に」をモットーとする省エネ主義者の奉太郎だが、福部里志、伊原摩耶花、そして千反田えるといった仲間たちは、彼に安息の時間を与えてくれなかった・・・

 「古典部」シリーズの第4作は、奉太郎たち4人が神高に入学してから一年間を綴った短編集です。
「やるべきことなら手短に」
 学校の七不思議。えるは早くも好奇心を露わにするが、奉太郎は・・・うまいことやったとは思いますが、素直に解決した方が手間がかからない気がします。
「大罪を犯す」
 厳格な数学教師は、まだ教えてない部分を教えたものとなぜか勘違いした・・・真相とおぼしきものは極めて単純なことなのですが、そこに行き着くまでが楽しい作品。
「正体見たり」
 合宿に行った先は工事で休業中の宿。怪談話をした夜に、摩耶花とえるが幽霊らしき人影が見えた・・・古典部として合宿に行って何をするの?という疑問はあるのですが、それはさておき、合宿先の状況や登場する姉妹がうまく使われています。「影法師は独白する」改題。
「心あたりのある者は」
 放課後に入った教頭による呼び出しの校内放送。誰を、どんな理由で呼び出そうとしているのか・・・校内放送をもとに推論を重ねる安楽椅子探偵もの。こういう推理合戦的なものは結構好きです。『九マイルは遠すぎる』も読んでみたいものですが。
「あきましておめでとう」
 初詣に行った神社で、偶然納屋に閉じ込められてしまった奉太郎とえる。脱出を試み悪戦苦闘するが・・・大胆に伏線が提示されていておもしろい作品。ちょっと予想していませんでした。
「手作りチョコレート事件」
 摩耶花が里志のために手作りしたバレンタイン・チョコ。だが、置いてあった部室でチョコレートは何者かに盗まれてしまった・・・なんとも苦さが残る作品。考えれば考えるほど、思えば思うほど、でしょうか。
「遠まわりする雛」
 雛祭りの行列は、ちょっとした手違いで通れるはずだった橋が通れなくなってしまった。生き雛役のえるが気を利かせたのだが・・・推理の結果をお互いに見せ合う、どこかで見たようなシーンかもしれませんが、この作品集の掉尾を飾るのにふさわしい一編でした。彼が撮ったであろう写真も見てみたいものです。書き下ろし。

 「氷菓」事件、「女帝」事件、「十文字」事件という3つの大事件の間を繋ぎ合わせるように語られる7つの短編。その順番が時系列で並べられているので、古典部4人の成長と心の移り変わりがより鮮明になります。
 特に終盤のいくつかは、ミステリとしてもさることながら、○○小説に軸足を移したのかと思うくらい。奉太郎にとって、やるべきことが何なのか、今後じっくり考えて欲しいものです。
 米澤さんによれば、このシリーズは卒業までとのこと。あと2年、この先古典部はどう変わっていくのでしょうか。
 ところで、収録されていた「心あたりのある者は」は、推協賞の最終候補作だったわけですが、惜しくも落選。その選評は推協のHPで読むことができます。まあ、少し納得できない部分もあるのですが・・・

収録作:「やるべきことなら手短に」「大罪を犯す」「正体見たり」「心あたりのある者は」「あきましておめでとう」「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」
関連作:『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番
2007年12月2日読了
2007.12.06 Thursday 15:10 | や行(米澤穂信) | comments(0) | trackbacks(0)

米澤穂信『インシテミル』

評価:
米澤 穂信
文藝春秋
¥ 1,680
(2007-08)
Amazonおすすめ度:
クローズドサークル
 求人雑誌に載っていたバイトは破格の条件だった。誤植じゃないのか。訝しがっていた結城理久彦だったが、車を買いたい一身で参加してしまう。時給1120百円のバイトは暗鬼館という地下の館で7日間、12人でモニターとして生活するというもの。だがそれは、殺し合いを誘発する危険なルールを持っていた。

 主に日常の謎青春ミステリで活躍してきた米澤さんが、満を持して放つクローズド・サークルものミステリ。それだけにかなり丁寧に作りこまれていて、隙がありません。本格ミステリのガジェットもふんだんに盛り込まれ、次はいつ、誰が、どこで、どんな風に殺されるのかというスリルがずっと持続し続け、とてもおもしろく読みました。
 12人にそれぞれ1つずつ与えられた12の凶器。それぞれ異なる殺害方法もいいのですが、それに添えられたメモランダムがまたいいのです。ついついニヤニヤしてしまいそうです。
 ただ、ミステリのゲーム性を重要視したのでしょうか、あの人の背景にあるものがはっきりとは書かれていなかったことが残念。

 米澤さんの本格愛が具現化されたような作品。本格ミステリが好きな人なら、きっと楽しめる作品でしょう。
 もっとも、今までの青春ミステリを期待していると、裏切られたような何かしらの違和感を覚えるかもしれませんね。
2007年9月26日読了
2007.10.02 Tuesday 11:03 | や行(米澤穂信) | comments(2) | trackbacks(2)

米澤穂信『ボトルネック』

ボトルネック
ボトルネック米澤 穂信

新潮社 2006-08-30
売り上げランキング : 101954

おすすめ平均 star
star着想はいいが、内容はいまいち・・・
starアイデアはよかったけど
starあまり・・・面白くなかったです・・・

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 嵯峨野リョウが兄の死を知らされたとき、彼は東尋坊に居た。亡くなった恋人諏訪ノゾミを弔っていたのだった。だが、リョウは意識を失ってしまい、気付くと金沢の自宅近くの公園にいた。そして、自宅には彼より1歳年上の嵯峨野サキという女性が。たどり着いた先は、リョウの代わりにサキが生まれたパラレルワールドだったのだ。

 痛い、とにかく痛い。そして黒い。残酷。
 かつてこれほどまでに登場人物のレゾンデートルを問われる作品があったのでしょうか。少なくとも、僕はここまでの作品を読んだことがありません。米澤作品では『夏期限定トロピカルパフェ事件』や『犬はどこだ』あたりに黒さを見ることもできたのですが、それと比較してもかなり黒いでしょう。
 SF的な要素もミステリ的な要素も持ち込まれた青春小説なのですが、中盤まではそんなに黒さや痛みを感じることもありませんでした。むしろおもしろく、物語に引き込まれて一気読みでした。でも、この内容ならポジティブにハッピーエンドにすることも難しくはないでしょうに、あえてこんな風にするなんて。でも、物語のすべてはあの最後の1行のために存在するんですよね、きっと。
 そして、タイトルにある『ボトルネック』が指す本当の意味って、あれをなんだろうなぁと。あれというか、あれとしか言えないというか。

 他人に薦めるにも、よく読み内容を理解した上で薦める相手を選ばないといけないでしょう。未読の人が、「これ、話題になってるからいいんじゃない?」なんていいかげんな薦め方をするのは絶対にやめてほしい、そんな1冊。でも傑作。
2006年11月8日読了
2006.11.08 Wednesday 00:00 | や行(米澤穂信) | comments(0) | trackbacks(0)

米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』

夏期限定トロピカルパフェ事件
夏期限定トロピカルパフェ事件米澤 穂信

東京創元社 2006-04-11
売り上げランキング : 5408

おすすめ平均 star
star仕組まれた苦さ
star小市民ね
star米澤穂信最高傑作!

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 この夏の運命を左右するのは〈小佐内スイーツセレクション・夏〉。いつか小市民の星を掴みたいと願う小鳩君は、依存関係でも恋愛関係でもない互恵関係にある小佐内さんと街中の素敵なスイーツをめぐるハメに陥った。だが、どうもこのスイーツめぐりは・・・

 小市民シリーズ第2作。雑誌「ミステリーズ!」に掲載された短編「シャルロットだけはぼくのもの」「シェイク・ハーフ」を1章、2章として含む連作短編集、というか長編。
 シリーズ前作『春期限定いちごタルト事件』がどちらかといえば甘い日常の謎だったのに対し、今作『夏期限定トロピカルパフェ事件』はその路線を踏襲した感のある前半、そして衝撃の結末へと続く後半といった構成で見事に驚かせてくれました。
 「シャルロット〜」は小鳩君と小佐内さんのやりとりが楽しい倒叙もの、「シェイク・ハーフ」は小鳩君の親友健吾が残したメッセージを四苦八苦して読み取るダイイングメッセージもの(というよりも暗号もの?)で、どちらも日常の謎の本格推理として満喫できるのですが、やはり最後の大事件が見もの。イマイチ不自然な発端からなんとなく真相を想像していたのですが、それを上回る真相です。まさに驚愕。さりげない伏線の収束がこんな形になるとは。
 それにしても黒い、黒いですよ小佐内さん。こんなビターな締めくくりにするなんて。

 ということで「わたし、とても気になります。『秋期限定モンブラン事件』が」。
 果たして2人の互恵関係はどうなるのか、そして小市民の星を掴むことはできるのか!
2006年4月18日読了
2006.04.18 Tuesday 00:00 | や行(米澤穂信) | comments(0) | trackbacks(0)