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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

森谷明子『千年の黙 異本源氏物語』

千年の黙―異本源氏物語
千年の黙―異本源氏物語森谷 明子

東京創元社 2003-10
売り上げランキング : 88888

おすすめ平均 star
starメイキング オブ 源氏物語
star古典とミステリの綺麗な融合
star紫式部探偵もなかなか面白い

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 第13回鮎川哲也賞受賞作。いなくなった猫や消えてしまった手紙の謎を追う「第一部 上にさぶらふ御猫」、源氏物語の一帖であった『かかやく日の宮』が失われた謎を解く「第二部 かかやく日の宮」、『雲隠』に本文が存在せず題だけが残された真相と、全体のエピローグ的な色合いの濃い「第三部 雲隠」の三部で構成される歴史ミステリ。

 「いづれの御時にか〜」からはじまる源氏物語。残念なことに僕は国語の授業でしか読んだことがありません。だからあまりにも一般的なことしか知らないし、故にこの物語も十分には理解できなかったかもしれません。
 でもおもしろかった。森谷さんの作品はこの歴史ミステリ『千年の黙 異本源氏物語』のあと現代物の『れんげ野原のまんなかで』、そして再び歴史物の『七姫幻想』へと続きます。僕は最初に読んだ『れんげ野原のまんなかで』がよかったので、もっと現代物を書いてほしいと思ったのですが、読んでみると正直なところ歴史物のほうがよかったです。もっと早く読めばよかった。

 中心になるのは内容的にも分量的にも明らかに第二部。小侍従の言葉から『かかやく日の宮』が損なわれた源氏物語が流布していることを知った紫式部と小少将が安楽椅子探偵とその助手として物語を旧に復そうと試みます。推理も素晴らしいのですが、中宮彰子や左大臣藤原道長、清少納言まで登場する雅な王朝物語の読み応えがあっておもしろかったです。登場人物たちもいきいきとしていて、楽しませてくれます。
 また、第三部で扱われる『雲隠』の本文がないという謎。この謎を読者にとって周知の事実として扱い、謎として提示せずに真相のみを提示するという歴史ミステリならではの手法と、その真相(もちろん歴史上の「真相」ではなく作品中の「真相」)に驚きです。

 源氏物語を知っている人はもとより、知らない人でも楽しめる歴史王朝ミステリ。やわらかくかつ繊細、そして現代風に読みやすく描かれた傑作です。オススメ。
2006年11月14日読了
2006.11.14 Tuesday 00:00 | ま行(森谷明子) | comments(0) | trackbacks(0)

森谷明子『七姫幻想』

七姫幻想
七姫幻想森谷 明子

双葉社 2006-02
売り上げランキング : 91714

おすすめ平均 star
star織女の郷はどこにあるんだろう

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 神の時代から江戸時代まで、織姫の七つの異称に因んだ連作短編集。

● 「ささがにの泉」
 白い糸に閉ざされた密室で大王は事切れた。大王とともにいた衣通姫は真相を知っているはずだが口を割らない。大后は妹衣通姫が犯人ではと疑う。
● 「秋去衣」
 軽皇子が恋に落ちた相手、それは機織女だったが、彼女には軽皇子に近づく目的があった。
● 「薫物合」
 うだつが上がらない官吏元輔は、恋した夏野がお役目を終える頃になっても戻らないのが気になって仕方ない。夏野の身に何かあったのか。
● 「朝顔斎王」
 斎王の座を退いた娟子。朝顔を愛した彼女が住む屋敷には嫌がらせが相次いだ。誰が、何のために嫌がらせをするのか。
● 「梶葉襲」
 瀧瀬の天気読みが外れた七夕の日、生子の乳母上総に東宮のほうから美しい梶葉襲が贈られてきた。しかし、上総には心当たりがなかった。
● 「百子淵」
 不二原の里には誰もが秘密にする成人の儀式があった。儀式の夜、禁忌を破って声を発した少年は命を落とした。儀式の真相は?
● 「糸織草子」
 機織の内職で生計を支える武家の妻志乃が、路地で手首を切り落とされた死体を見つけた。

 読み出すまでは時代物ということもあり、手を出しにくいような印象もあったのですが、読み出したら止まらないような作品でした。
 すべての作品を貫く里のことや人物のことから、恩田陸さんの『光の帝国 常野物語』を頭の片隅におきながら読みました。もちろん、作品集としての構造からイメージしたのです。もっとも印象深いのは「薫物合」「朝顔斎王」「梶葉襲」といった一連の平安朝の作品。大小の謎と恋、雅やかな時代背景といったものが巧みに配置され、うまく結びついています。全体的に謎解きもさることながら、よりストーリーに重点を置いているようでした。『七姫幻想』という書名にある蜘蛛姫・秋去姫・薫姫・朝顔姫・梶葉姫・百子姫・糸織姫という織姫の七つの異名も各作品に違和感なく溶け込み、読み応えがあります。
 個人的には間違いなく今年のMy Best候補。

収録作:「ささがにの泉」「秋去衣」「薫物合」「朝顔斎王」「梶葉襲」「百子淵」「糸織草子」
2006年10月31日読了
2006.11.03 Friday 00:00 | ま行(森谷明子) | comments(0) | trackbacks(0)

森谷明子『れんげ野原のまんなかで』

れんげ野原のまんなかで
れんげ野原のまんなかで森谷 明子

東京創元社 2005-03-01
売り上げランキング : 145535

おすすめ平均 star
star登場人物がいまひとつ
star図書館ならではの謎解き
star加納朋子さんや光原百合さんが好きな人におすすめ

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 図書館を中心舞台とした「日常の謎」短編集。『千年の黙 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞した作者の受賞第1作。
 新米司書今居文子が勤める秋庭市立秋葉図書館は町外れの僻地に建つ閑散とした図書館。司書として抜群な知識と推理力を持つ能勢、冷静でしっかりした日野という二人の先輩、そして世話焼きで図書館用地も提供した秋葉などの周囲でちょっとした事件が起きていく・・・

●「霜降−花薄、光る。」
 図書館で閉館後もこっそり居残ろうとする子どもたちが頻発する。その一方で、急に不可解な忘れ物が増え出した。知らなければ解らないかもしれないですが、知らなくても楽しめます。
●「冬至−銀杏黄葉」
 比較的人が少ない児童洋書の棚で水曜日に限って誰かがいたずらしていく。どうやら暗号のようではあるが・・・図書館ならではですね。
●「立春−雛支度」
 コピー機に残されていた利用者と貸出本のリスト。しかし個人情報を図書館でリスト化するはずもなく、しかもリストに名前がある人たちは図書館を利用したことがないという・・・おそるべし個人情報漏洩。
●「二月尽−名残の雪」
 大雪の日、能勢の機転で文子は秋葉邸で一晩厄介になる。そこで秋葉から子どもの頃に見た雪女の話を聞かされる。時代背景と真相がうまくまとめられています。
●「清明−れんげ、咲く」
 図書館のまわりのススキが刈り取られ、代わりにレンゲソウの花が咲きそろった。そんなころ、書棚に廃校になった中学校の蔵書が紛れているのが見つかった。能勢の気遣いが後味を良くしています。

 全体としてきれいに、繊細にまとめられたという印象。『れんげ野原のまんなかで』というタイトルのせいかも知れません。優しい気持ちと善意に囲まれた日当たりのいい図書館といった感じ。
 ただ、それだけに強い印象、インパクト、サプライズに欠けている気もします。4〜5話はせっかく図書館という制約から飛び出したのだから、その辺をもっと押し出してほしかったです。
 謎そのものは人間の心理に焦点が当てられたものが多く、その点は面白かったです。
 このままシリーズ完結ということもないと思うので、次回作に期待です。

収録作:「霜降−花薄、光る。」「冬至−銀杏黄葉」「立春−雛支度」「二月尽−名残の雪」「清明−れんげ、咲く」
2005年4月5日読了
2005.04.08 Friday 00:00 | ま行(森谷明子) | comments(0) | trackbacks(0)