こんな夜だから書庫に行こう

はてなから感想の保管作業終了!!
現在、10年ほど前の一言感想をアップしています。
<< December 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

Profile

Selected entries

Category

Archives

Links

BlogPeople

STARLIGHT mini

あわせて読みたい

あわせて読みたい

RECOMMEND

RECOMMEND

RECOMMEND

RECOMMEND

Comment

Trackback

Other


  • Admin
  • RSS1.0 | Atom0.3
  • Template by Dsh+
  • Powered by JUGEM

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

2009.09.29 Tuesday | - | - | -

望月守宮『無貌伝 〜双児の子ら〜』

評価:
望月 守宮
講談社
¥ 1,260
(2008-01-09)
Amazonおすすめ度:
正統派
奥深い世界観
 “ヒトデナシ”。それはこの世界に人とともに存在する怪異。無貌という“ヒトデナシ”に顔を奪われた名探偵秋津を襲ったことから彼の助手になった古村望。無貌からコレクションとして舌を狙われている鉄道王の孫娘芹の警護だったを依頼され秋津とともに向かうが、榎木家では次々惨劇が・・・

 第40回メフィスト賞受賞作。
 この賞には当たりハズレが大きそうな印象があったのですが、今回は大きな当たりだったようです。
 登場する無貌や匂色といった“ヒトデナシ”の特性を理解するのに若干苦労するかもしれませんが、それ以外は特別にひっかかることもありません。おそらくは昭和初期と思われるパラレルワールドを舞台に、堅実な筆で独特の世界を紡ぎ上げます。
 “ヒトデナシ”なんてものが出てくるものですから、どれだけ突拍子もないような作品なのか正直なところかなり不安もありました。しかし、この作品は予想していた以上に真っ当なミステリなのです。

 繰り広げられるミステリは比較的オーソドックスなもの。鉄道王一族の邸宅で起こる忌々しい連続殺人。ひとり、また一人と一族は予言のように殺されていくのです。ただ、そこには当然のことながら“ヒトデナシ”いう味付けがされているのがポイント。無貌に顔を奪われるとそれ以前の知り合いには姿や声を認識されなくなるし、匂色が憑いた人はその部分で触れることで他人の記憶を得たりできるのです。これが警察や探偵の捜査に影響しないわけがありません。このあたりがうまく利用されていて、ミステリとしてのおもしろみを出しているように感じます。

 また、無貌に顔を奪われた秋津が、探偵というものの役割に疑問を感じて推理に消極的なのも興味深いところ。本来ならば率先して推理すべき名探偵が抱く疑問、葛藤。それは事件に積極的に関与しようとする望との仲違いから始まるふたりの成長物語という側面も持っています。助手という肩書きながらひとりの探偵としての覚悟を持って行動する望の活躍と、それに感化された秋津。ふたりの今後が楽しみになります。
2009年2月7日読了
2009.02.16 Monday 13:32 | ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

村崎友『修学旅行は終わらない』

評価:
村崎友
メディアファクトリー
¥ 580
(2008-08-21)
Amazonおすすめ度:
まだまだ夜はこれから
 普遍的な高校生の修学旅行。その最後の夜、教師の見回りスケジュールを手に入れた甚太たちは、ひとつ上の階にある葵たち女子の部屋へ突入を試みるが、思ってもいない騒動に・・・

 ひとつの出来事を多くの登場人物の視点で描く一人称多視点。これにより思春期の高校生たちそれぞれの感情を表現するだけでなく、不可思議な事件を引き起こすことに成功した作品。
 多くの人々にとって重要なイベントである修学旅行。それだけに思い入れも一入。これはもう、この設定を選んだ者勝ちでしょう。

 視点が増えるに従って読者に新しい情報がもたらされ、少しずつ景色が変わって見得るのはなかなかおもしろいものでした。ただ、同じ出来事について繰り返し何度も多視点で語られるのは少々くどく感じられ、もう少し視点人物を絞れたらよかった気がします。
 また、多視点により散らばったものを最後に収束させる手際はいいものの、回収し切れていない伏線らしきものが残されたのも事実。彼らのその後の物語があるのなら、それを生かしてほしいなあ。

 単純に興味や懐かしさから「修学旅行、いいなあ」と思わせるだけでなく、騒動でのおかしさやちょっとした謎を絡ませることで、修学旅行に対する読者の感情を膨らめることに成功しています。
 それにしても修学旅行、いいなあ。
2008年10月23日読了
2008.10.30 Thursday 22:41 | ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

牧薩次『完全恋愛』

評価:
牧 薩次
マガジンハウス
¥ 1,890
(2008-01-31)
Amazonおすすめ度:
ミステリの大ベテランが裏名義で放つ完全恋愛推理。
 他者にその存在さえ知られない罪を
 完全犯罪と呼ぶ
 では
 他者にその存在さえ知られない恋は
 完全恋愛と呼ばれるべきか?
 第一回みすてり大賞受賞作家である牧薩次さんが手がけた、孤高の画家柳楽糺画伯の評伝。これは彼の代表作になるであろう傑作です。
 などとまわりくどいことを言ってみました。本書はミステリファンならご存知かもしれませんが、ある大家が自身のシリーズキャラクター「牧薩次」名義で世に送り出した作品。
 終戦から現代にかけて、一人の画家の生涯を追う形で物語は進みます。そこには彼、柳楽糺こと本庄究が巡りあった一人の女性との恋愛、そして3つの殺人事件が描かれます。
 まず注目すべきは3つの殺人事件。1つ目の進駐軍将校殺しにおける、時代背景を生かした凶器の消失に驚かされます。また、巧みに張られた伏線も見逃せません。2つ目の遠隔地殺人、3つ目の同時出現殺人と、スケールの大きな殺人事件が重ねられている点も見逃せません。福島と沖縄という距離を越えた殺人も然るものながら、伏線と時代背景が効果的なアリバイ崩しも目を見張るものがあります。一筋縄ではいきません。
 この作品では究の柳楽糺としての業績とともに、究が恋した小仏朋音、その死後には娘や孫を遠く近く見守り続ける生涯が描かれます。ここがポイント。『完全恋愛』というタイトルに偽りはなく、人間の生涯というドラマの内で外で隠されていた愛情が、巧みに読者の前に姿を表す様は圧巻です。

 正直、今までこの大家の作品にはあまり関心がなく、本書も各所での評判を知らなければ手に取ることはなかったでしょう。同じような方にはぜひともオススメしたい1冊です。『完全恋愛』。これが年末のランキングで筆頭に掲げられても全く依存はありません。
2008年10月16日読了
2008.10.24 Friday 21:52 | ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

松田志乃ぶ『嘘つきは姫君のはじまり 見習い姫の災難』

評価:
松田 志乃ぶ
集英社
¥ 560
(2008-09-02)
Amazonおすすめ度:
平安ロマンティックミステリ、第二作。
 乳姉妹の馨子の命で、馨子の身代わりを演じることになった宮子。姫様修行の一環として、仮御所から出ようとしない「桐壺の更衣」の説得という名目で冷泉院に赴くのだが、そこで宮子はとんでもないものをみつけてしまった・・・

 平安ライトミステリの第2弾。
 今回もあらためてミステリとしての出来具合に感心させられます。この時代性をしっかり活かした道具立てといい、そこかしこに張られた伏線といい、これは本当に拾い物だった気がします。『なんて素敵にジャパネスク』を読んだあとじゃなかったら、きっと手にとっていなかっただろうから、尚更。
 次郎の君(東宮)や蛍の宮、あるいは馨子(和泉の君)のような能力に秀でたスーパーマンがそろっているというのは、いかにもという印象を受けます。ただし、そういった登場人物もしっかり物語の中で消化されていて、あまり違和感はありませんでした。もっとも、彼らを宮様や姫様にしておくのはもったいないような。検非違使とかどうですか。
 また、真幸の影が余りも薄いのはどうかと思います。一応、彼は馨子公認で宮子のお相手ということになっています。しかし、登場シーンも少ないし、あまり魅力的にも書かれていません。その辺、3巻目でフォローされるのでしょうか。

関連作:『嘘つきは姫君のはじまり ひみつの乳姉妹
2008年10月8日読了
2008.10.19 Sunday 18:30 | ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

みかづき紅月『ぶよぶよカルテット』

評価:
みかづき 紅月
一迅社
¥ 650
(2008-06-20)
Amazonおすすめ度:
音楽を挟んだ三角関係?
 教室に忘れたノートを取りに、夜の学校へ忍び込んだ地梨琢己。ピアノの音色に魅せられて音楽室に行くと、弾いていたのは奇抜な行動で知られる先輩音城トリルだった。彼女に気に入られたことでクラスでは白い目で見られるが、それに一番反応したのは琢己の幼馴染で天才バイオリニストの七瀬凛音・・・

 タイトルからもたらされる得体の知れないイメージはさておき、とても楽しく透明感のある作品でした。『アンサンブル!』という仮タイトルの方に良いイメージを持っていたのですが、読んでみるとこれはこれでしっくりきます。そういうことなのか、と。
 奇人変人のようにいわれるトリルが、思っていたよりもまともなのがちょっと拍子抜けでした。もっとぶっ飛んだ設定かと思っていましたよ。その辺は、なんとなく中途半端でした。いや、この程度のほうがいいのかな。

 また、琢己が一旦離れていた音楽にふたたび触れてその楽しさに惹かれていくのと、幼馴染の凛音ではなくトリルに少しずつ魅かれていくのがリンクしているようで、なんとも言えずよかったです。本人がその辺を自覚しているのかわかりませんけどね。
 とにかく、音楽の楽しさが伝わってくる作品。これで琢己も彼女たちのように天才的な才能を持っていたりすると全然違うのでしょうが、琢己が愚民というか凡人であるがゆえに、余計に伝わりやすくなっているようです。そのほうが、僕のような凡人でも感情移入しやすいですし。
 まだまだ恋は気づいたのかどうかもわからないような状態。ぜひともこの先を読んでみたいと思わせる、明るく楽しい良質のぶよぶよした小説です。
 それにしても、「エロいむえっさいむ」って。
2008年7月28日読了
2008.08.07 Thursday 22:25 | ま行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)