こんな夜だから書庫に行こう

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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

福田和代『TOKYO BLACKOUT』

評価:
福田 和代
東京創元社
¥ 1,680
(2008-10)
Amazonおすすめ度:
これは凄い! リアルな現代の英雄群像。
膨大な取材量が圧倒的リアリティとなって読者を包み込む
 夏真っ盛り、8月24日夜のことだった。首都東京の電力を一手に担う東都電力に入った連絡。信濃幹線、東北連系線・・・東京への動脈が次々と断たれていく。それは悪夢のような東京大停電の始まりを意味していた・・・

 あらすじを読むだけでもワクワクしてくるようなクライシス・ノベル。結論から述べるならば、残念でしたというほかありません。おもしろかったからこそ、余計に。

 ひとりの保守要員の男が殺害されるところから始まるこの物語。事件の発生から対応策への取り組みあたりはこういったトラブル時の東都電力の動きというか奮闘ぶりが綿密に描かれ、まさに力作という言葉が相応しい作品です。特に輪番停電に入るために新システムを稼働させようというあたりはなかなかの緊迫感。
 東都電力や警察関係の人々はもちろんですが、それだけでなく実際に大停電に至った際の市井の人々の動揺や奮闘までもしっかりと描かれていて、意外なところで楽しませてくれます。

 しかしながら、物語の後半にいたり犯人の姿がはっきりしてくると、焦点が彼らに集中して、他の人々が捨て置かれてしまったような気がします。結果的にはいろいろなことを詰め込もうとしすぎたのでしょうか。前半とは明らかに状況が異なるのでやむを得ない部分はあるでしょうが、これはちょっと残念でした。
 また、犯人がこの大停電を起こした動機も正直如何なものかと思われます。あまり詳しくは触れられませんが、この部分を納得できるものにしてほしかったですね。

 そうは言っても、デビュー作『ヴィズ・ゼロ』をも読みたくさせる力作。これからの福田さんに期待です。
2009年1月2日読了
2009.01.13 Tuesday 23:11 | は行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

初野晴『退出ゲーム』

評価:
初野 晴
角川グループパブリッシング
¥ 1,575
(2008-10-30)
Amazonおすすめ度:
青春ミステリの新星  
 高校から吹奏楽部に入りフルートを始めたチカ。憧れの顧問草壁目当ての入部ではあったものの、廃部の危機とあれば部員集めをしなければならない。草壁との接点なのだから。だが、チカの目の前には難問が立ちはだかる。チカは幼なじみで変わり者のハルタとともに奔走するのだった・・・

 良い評判は聞いていましたが、まさに青春本格ミステリの傑作短編集です。
「結晶泥棒」
 文化祭中止を要求する脅迫に合わせて劇薬硫酸銅の結晶が盗まれた。文化祭の中止は文化部にとって存続の危機・・・脅迫と盗難を巧みに組み合わせた作品。ただし、扱った内容からどこかで見たことがあるように感じられるのが残念。
「クロスキューブ」
 亡くなった少年が遺したパズル。それは六面すべてが白いルービックキューブだった・・・白いルービックキューブが持つメッセージがあまりに純粋で、余計に心を打ちます。ハルタが仕掛けた演出が、ミステリであることを思い出させてくれました。
「退出ゲーム」
 部員引き抜きのために対決する吹奏楽部と演劇部。「退出ゲーム」と呼ばれる即興劇で・・・とにかく吹奏楽部と演劇部との駆け引きが読む者を楽しませてくれます。ひとりの観客として見たいほど。このゲーム、理詰めでいかなくてはならないあたり、本格ミステリと近いのでは。世界の反転とともに感動を与えてくれます。ゲームの結果が参加するものの問題を解決するあたりがいいですね。
「エレファンツ・ブレス」
 「オモイデマクラ」で夢を見るために指定された色は、「エレファンツ・ブレス」という謎の色・・・社会派的な要素を強くした作品。それだけに4編中最も重い作品に思えます。こういう作品が加えられることで、作品集全体がキッと引き締まる感じがします。

 チカ、ハルタ、草壁先生といった中心人物のみならず、各編で絡む様々な登場人物までもキャラが立っていて、ユーモアもなかなかあり、読みやすい仕上がりです。
 また推理も軽い蘊蓄的な要素があるものの、それが鼻に付くことが全くありません。蘊蓄の内容にもよるのでしょうが、やはり出し方・見せ方がうまいのでしょう。
 軽い日常の謎かと思いきや、その実なかなかヘビーなテーマを扱った作品集。これは予想外でした。思わず、「ちょっと読んでみて」と言いたくなります。オススメ。学年が上がるのが楽しみです。

収録作:「結晶泥棒」「クロスキューブ」「退出ゲーム」「エレファンツ・ブレス」
2008年12月8日読了
2008.12.13 Saturday 12:12 | は行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

早狩武志『ハーフボイルド・ワンダーガール』

評価:
早狩 武志
一迅社
¥ 590
(2008-09-20)
Amazonおすすめ度:
正直期待外れ
雰囲気も面白い
隔靴掻痒の極み。しかしそれが面白さ。
 幼馴染の水野美佳から呼び出された湯佐俊紀。だが、彼女の告げられた言葉は「ちゃんと、責任とってくれるよね」だった。身に覚えがなく途方に暮れる俊紀だったが、偶然その場を見てしまったミステリー研究会会長の佐倉井綾が救いの手を差し伸べた。本当に潔白なら、犯人を探そうと・・・

 新感覚ミステリー? この言葉がとても足枷になっているようです。
 読み始めるとすぐわかってしまうのが、この作品唯一最大の謎である子供の父親。冒頭で想像して「本当にそれで合っているのか?」と不安を覚えた人もいるでしょうが、おそらくその想像は間違っていません。
 それゆえ、本格ミステリのような謎と論理を想像しているとがっかりされるでしょうが、タイトルから「ハーフボイルド=ハードボイルド未満」などと考えられれば、それほどでもないのでは。私立探偵が足と人脈を駆使して謎を解き明かす物語には違いありません。どれだけ「未満」なのかはまた別の問題。

 メインとなる俊紀と佐倉井さんは、互いの足りない部分を補うような関係で真相に迫っていくのですが、目的は違うのに知りたいという点で共通するふたりがなかなかおもしろい関係です。ただ扱う問題がシリアスすぎたかも。このコンビでまた違った事件を読んで見たい気がします。
 もっとも、同じ登場人物でも美佳はいただけません。この身勝手さはちょっと理解しがたいです。彼女をヒロインとして捕らえるとかなりいやな作品かも。ただし、この物語がどういった人物関係を描いたものか、その捉え方次第で抱く印象もまたかなり違ったものになると思いますよ。
2008年10月22日読了
2008.10.30 Thursday 13:51 | は行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

深水黎一郎『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』

 東京で公演されていたオペラ『トスカ』。女優は演出家の指示どおり、男優の頚動脈めがけてダミーのナイフを振り下ろした。だが、吹き出したのは血糊ではなく本物の血。男優はその場で絶命した。何者かによって、ナイフは本物とすりかえられていたのだ・・・

 オペラ『トスカ』を題材にとりあげたミステリ。一般的にはなかなかとっつきにくい印象があるオペラですが、冒頭からわかりやすく説明されていて全く心配はいりません。むしろ、興味がなかった人でも「一度見てみようか」と思うこともあるのでは。もちろん、知っているほうが楽しめることは間違いないでしょう。
 ミステリとしては、開かれた密室、見立て殺人、すりかえられた凶器、残されたメッセージなど、ミステリらしいガジェットがふんだんに盛り込まれています。それらをうまく活用しながら、最後に明かされる真犯人への道筋をひとつひとつ丁寧に逸らしていく手際のよさに感心させられます。もちろん、読んだあとでなければわかりませんが。

 ただし、若干地味なのがネックでしょうか。物語自体が派手とはいえないので、せめて探偵役の瞬一郎ぐらいは派手でもいいのではないかと思うのですが、こちらも博識ではあるものの派手とはいえないでしょう。そういう面では損をしているようです。もっとも、異色の登場人物といえばあの警部がいますが。
 作中では登場人物の名を借りて、『トスカ』の新解釈が提示されているのがおもしろい趣向かもしれません。少し前に読んだ『妃は船を沈める』では『猿の手』の新解釈が紹介されていましたが、こういうのは最近の流行なのでしょうか。
2008年10月3日読了
2008.10.07 Tuesday 17:18 | は行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)

早矢塚かつや『死神ナッツと絶交デイズ』

評価:
早矢塚かつや
メディアファクトリー
¥ 609
(2008-05-21)
Amazonおすすめ度:
二読目三読目で・・・変わる作品?
 幌右の前に現れた二つの世界。それは世界が二つに分岐したことを意味していた。ひとつは未来を見ることができる詩夏のいる世界。もうひとつは詩夏のだいしんゆーである絶交少女・夜空のいる世界。どちらかが事故で死んでしまう? 幌右はどちらを選ぶ? 選ぶことができる?

 二つの平行世界を扱ったパラレルワールドもの、あるいは過去に戻って選択肢を選びなおすタイムリーブもの。
 ただし、なかなか予想したとおりの方向へは進まず、よい意味で期待を裏切り続けてくれます。時にはバッドエンドかと思わせるようなことも。このストーリー展開が丁寧に作られていたのがよかったです。最後のエピローグまで含めて。

 不満といえば、タイトルにある“死神ナッツ”についてイマイチ説明不足で、その役割が不明確なところでしょうか。タイトルになっているくらいですから本来はもっと重要な存在であるべきだと思うのですが。まあ、大筋には影響しないのでよしとしますか。
 説明不足といえば、詩夏の未来を見る力や夜空の人の心が見えてしまう力なども説明不足だとは思います。
 しかしそういったことがこの物語のメインではなく、あくまでもごく普通の(と呼んでも差し支えないであろう)少年と少女が、自分たちが願い、「こうでなければならない」と希望する未来のために自己犠牲も厭わず全力であがき続ける物語なのです。
 ですから、やはりパラレルワールドもの、タイムリーブものであること以上に、青春ものというべきなのでしょう。
2008年7月30日読了
2008.08.12 Tuesday 19:01 | は行(その他) | comments(0) | trackbacks(0)