こんな夜だから書庫に行こう

はてなから感想の保管作業終了!!
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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

柴崎友香『青空感傷ツアー』

評価:
柴崎 友香
河出書房新社
¥ 494
(2005-11)
Amazonおすすめ度:
関西弁いいな
すごいです
とにかくナチュラル
 仕事を辞めたその日、芽衣は新幹線で美人で傲慢な音生と再会した。音生に引きずられるまま旅に出かける芽衣。それはトルコへ、四国へ、そして石垣島へと続くいい加減な旅。この旅はどこへ行き着くの?

 柴崎さんの小説は、僕にとっていつも本当に難解です。そこに謎があるとか、笑いがあるとか、涙があるとか、そういう類のものではないから。代わりにあるのは、何気ない日常のちょっと変わった延長線。
 今回の旅行は、仕事を辞めたあとの感傷旅行。音生というわがままな女友達(5歳年下)に引っ張られ、トルコへのツアーに参加したり、四国に住む友人の旅館に長居したりというもの。やっぱり日常の延長線上。
 音生は人並みはずれた美貌の持ち主。非常識でわがままで傲慢。普通に考えればあまり読者に好かれないタイプの登場人物ですし、おそらく僕もそう思うはず。なのに、どこか気になる憎めない人物に思えたりします。言うべきことははっきり言い、行動する、どこか一本の筋がピンと通ったようなところがいいのでしょうか。
 対照的に芽衣はもうグダグダ。面食いで、あまり考えず行動して文句ばかり、努力は嫌いで僻みっぽい。おまけに音生に引きづられっぱなしで、何ひとつ決断しないタイプ。だから、音生よりも芽衣にイライラしっぱなしでした。四国でそれをストレートに指摘されるシーンでは、思わず首肯の繰り返し。
 読んでいて、柴崎さんらしさが随所に見られたのですが、ただただ芽衣のグダグダしたところが鼻についてしまいました。それが残念。
2008年6月23日読了
2008.07.04 Friday 20:58 | さ行(柴崎友香) | comments(0) | trackbacks(0)

柴崎友香、田雑芳一『いつか、僕らの途中で』

評価:
柴崎 友香,田雜 芳一
ポプラ社
¥ 1,260
(2006-02)
Amazonおすすめ度:
手紙が伝える時間の流れ
いいね!
大人のための絵本
 京都で大学院に通う「わたし」と、京都の大学を出て故郷山梨で高校教師になった「僕」。遠く離れたふたりは時間をかけて、手紙のやりとりで見たこと、感じたことを伝える。書く時間、届くまでの時間を楽しみながら・・・

 作家とイラストレーターのコラボレーションは、往復書簡の形式で紡がれる一年の物語でした。
 何も劇的なことや特別なことは起きない。起きないけれども、そこには伝えたいという思いが確実に存在しています。春なら桜のこと、夏には暑さのこと、秋には色づきのこと、そして冬には雪のこと、と。それは、ふたりだけの特別なこと。
 もちろん、ふたりが会っていれば手紙は書かない、書く必要はないわけで、会う前の手紙はあっても会っているときのことは書かれていません。それがぶつ切りのようにならず、余韻を残すように次の季節へと移っていくのもなんだか心地よいです。
 淡く、そしてあたたかい田雑さんのイラストが絶妙で、雰囲気に合っていたことも見逃せません。

 通信手段の発達により、手紙を書く機会は失われつつあります。実際、最後に手紙を書いたのはいつだろう、という方も多いのでは。しかし、手紙には手紙でしか伝えられないような何かがあります、きっと。
2008年3月3日読了
2008.03.08 Saturday 22:33 | さ行(柴崎友香) | comments(0) | trackbacks(0)

柴崎友香『また会う日まで』

また会う日まで
また会う日まで柴崎 友香

河出書房新社 2007-01
売り上げランキング : 8025

おすすめ平均 star
star肩の力を抜いて、ゆっくり読める。

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by G-Tools

 大阪で育ちOL生活を送る有麻は休暇を利用して東京はやってきた。あの修学旅行での思い出を確かめるために。約束せずに上京した有麻は果たして同級生の鳴海と再会することができるのか。
 柴崎さんはいつも視覚的でちょっとしたことをうまく切り取って表現していて、それでいて感覚的でつかみ所がないような物語を書いてくれます。矛盾しているようだけれど、そんな作品なんです。
 今回の『また会う日まで』ではそれを特に顕著に感じました。カメラ・写真という小道具が多用されていて有麻が目にしているものはそのまま僕も見ているような錯覚に陥りそうなのだけれど、それらはいつの間にか雲のように散ってしまうのです。掴んだと思って握りしめたら消えてなくなってしまう綿菓子のような。
 日常の中のちょっとした非日常というか、でも決して平凡ではない一日。
 舞台はほぼ全編東京。有麻は関西在住なので当然のように関西弁を話します。ただ、街の名前や地名が変わっただけで関西弁も相変わらずなのに、今までの作品での関西とは随分違った空気だったようです。柴崎さん自身が東京へ引っ越したという話をどこかで読んだように記憶しているのだけれど、もしかしたらそういったことも影響しているのかもしれませんね。いや、逆に僕がそれを意識していたのかもしれません。
 ただ、作品としてのインパクトは過去の作品と比較するとやや欠けるかと。登場人物中でもっともインパクトがあったのは凪子だったのですが、そのインパクトが強すぎたのか鳴海くんに会ってあの夜の思い出を確かめるという目的が、変容してしまったように感じられたのが残念でした。
 『また会う日まで』というタイトルは、いつかまた会える日を楽しみにしているようにも解釈できるけれど、一抹の寂しさともう二度と会うことはないだろうという予感を大きく孕んだ強い決意のようでもあります。
2007年2月19日読了
2007.02.20 Tuesday 15:58 | さ行(柴崎友香) | comments(0) | trackbacks(0)

柴崎友香『その街の今は』

その街の今は
その街の今は柴崎 友香

新潮社 2006-09-28
売り上げランキング : 92542

おすすめ平均 star
starスローライフ
starネクスト・ステップ

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 16日に選考される第136回芥川賞の候補作。
 夏の終わりの大阪の街。勤めていた会社が倒産したことでアルバイトをしている歌ちゃんは、この街の昔を写した写真が好きで集めている。仕事のこと、男友達のこと、気持ちがゆれる28歳と移り行く街の物語。

 柴崎さんの作品を何冊か読んでみて感じるのは、何気ない日々の1コマだとかちょっとした街の風景を非常にうまく切り取っているということです。
 本書『その街の今は』でも、例えば合コンでの会話のやりとりだとか、あるいは通りで目に入ってくる景色や人の流れなど、取るに足らないようなところでもなんだかちょっと記憶に残るシーンにしてしまいます。それをやわらかな風呂敷で包み込んだ感じ。箱や封筒ではなく、風呂敷。
 もちろん、舞台は大阪ですから、関西弁の会話は今回も心地よく染み込んできます。

 僕は今まで芥川賞受賞作というのを読んだことがないので、そこにあるハードルの高さはわからないけれど、今回受賞してもいいのではないかと思える作品でした。
 でも、どうして智佐や百田さんたちは「ちゃん」なのに、良太郎は「ウタさん」なんだろう。
2007年1月10日読了
2007.01.12 Friday 00:00 | さ行(柴崎友香) | comments(0) | trackbacks(0)

柴崎友香『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?
次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?柴崎 友香

河出書房新社 2006-03-04
売り上げランキング : 30698

おすすめ平均 star
star犬が書けている
star
star表題作、タイトルが秀逸です

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 表題作「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」と「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」という中編2作を収録。

●「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」
 大阪から東京まで、望は友人の恵太とルリ子が東京ディズニーランドまで行くのに「コロ助の告白の応援」という名目で便乗する。男3人、女1人のロングドライブの行方は・・・
 なんといっても素敵なのは、望とコロ助の絶妙な掛け合いのようなやり取り。かつて学生カメラマンとして将来を嘱望されていた望。惰性とわがままとかつての栄光だけを頼りに生きているような彼が、東京までの短い時間におそらくはちょっとしたことをきっかけにふたたび前進を始めようとする姿がいいと思うのです。
 ほとんど道中4人だけで話が進むためか、登場人物がはっきりしていて読みやすいのもいいですね。
●「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」
 「戦うこと 眠らないこと」と今年の抱負を決めたが、いつでもどこでも眠ってしまう主人公の女子大生。原因は好きだった花田くんが映画の修行にロンドンへ行ってしまったという失恋だった・・・
 全く以って困った主人公です。「戦う」なんていっても物騒なものではなく、コミカルかつほんわかとしたムードで流れる物語です。

 柴崎さんの作品は物語の持つ雰囲気と関西弁の会話によるやわらかさ、やさしさが微妙にかみ合っているところが気に入っています。
 もちろん、関西弁にも刺々しい部分や激しい部分があります。でもそういった部分はできるだけうまく避けて、上質な部分を抽出しているのかななんて思ったりします。

2006年3月16日読了
2006.03.20 Monday 00:00 | さ行(柴崎友香) | comments(0) | trackbacks(0)