こんな夜だから書庫に行こう

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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

有栖川有栖『火村英生に捧げる犯罪』

評価:
有栖川 有栖
文藝春秋
¥ 1,650
(2008-09-25)
Amazonおすすめ度:
短編集の醍醐味
楽しめる構成
久々で、ライトに読めます。
 大阪府警の捜査一課長宛てに贈られた速達。その内容はprof.Rを名乗る人物からの挑戦状。しかも、「火村英生に捧げる犯罪」とも。一方、アリスのもとには東京からアリスの最新作で盗作されたという人物がいるという電話が。身に覚えのないアリスだったが・・・「火村英生に捧げる犯罪」

 『妃は船を沈める』に続く有栖川さんの新作は、バラエティに富んだ火村シリーズの短編集です。短編の中に掌編がちりばめられています。
「長い影」
 夜、廃工場から出てきた怪しい人影。中には自殺か他殺か断定できない死体が・・・関係者をつなぐ細い糸の使い方が巧み。語り手の切り替えが、緊迫感をより強く打ち出しています。トリックも小粒ですが意表を突かれました。
「鸚鵡返し」
 殺された男は、鸚鵡を飼っていた・・・「そっちか」と手を打つ掌編。火村の語りも珍しいのでは?
「あるいは四風荘殺人事件」
 亡くなった推理小説界の重鎮・里中。その娘がアリスに処理を依頼したノートは・・・短編らしからぬ大仕掛け。でも、まとまったところを読むと短編向きな内容かな。
○○○、というのか? それは疑ったことがなかった。(P121)
って、この可能性ぐらい考えてほしかったなあ。ミステリ作家なら。
「殺意と善意の顛末」
 アリバイは崩された。あとは罪を認めるだけ・・・この長さの中にわかりやすさが丁寧に詰め込まれています。
「偽りのペア」
 殺された女子大生の部屋にはペアルックでの写真が残っていた・・・オチがなんとも言えません。
「火村英生に捧げる犯罪」
 大阪府警に届いた手紙。そこには府警並びに火村に対する挑発が記されていた・・・大きく出た割に火村の言うとおり間抜けな犯人で、思わず失笑してしまいそう。それはそれでおもしろいのですが。
「殺風景な部屋」
 現場は携帯電話も通じない地下だった・・・ちょっと強引な気も。まあ、物にはいろいろな使い方があるということで。
「雷雨の庭で」
 雷雨の夜、男は庭で頭を強打し亡くなっていた。男は隣家の早瀬に誹謗中傷を繰り返していたが、早瀬にはアリバイが・・・犯人は最初から明白。問題はその犯行方法とアリバイ崩し。解き明かした火村が証明して見せる様子が切なく悲しい事件。

 相変わらずハズレがないうまさ。短編集とあってやや軽めの感はありますが、安定感とわかりやすさは素晴らしい。これでひとつふたつ突出した作品があればとも思うのですが、それは欲張りでしょうか。
 あとがきを読むと、J-ミステリ倶楽部で書いた掌編での苦労がよくわかります。短くまとめるというのは本当に難しいのでしょうね。

収録作:「長い影」「鸚鵡返し」「あるいは四風荘殺人事件」「殺意と善意の顛末」「偽りのペア」「火村英生に捧げる犯罪」「殺風景な部屋」「雷雨の庭で」
関連作:『46番目の密室』『ダリの繭』『ロシア紅茶の謎』『スウェーデン館の謎』『海のある奈良に死す』『ブラジル蝶の謎』『英国庭園の謎』『ペルシャ猫の謎』『絶叫城殺人事件』『乱鴉の島』『妃は船を沈める
2008年10月30日読了
2008.11.03 Monday 21:13 | あ行(有栖川有栖) | comments(0) | trackbacks(0)

有栖川有栖『妃は船を沈める』

評価:
有栖川有栖
光文社
¥ 1,680
(2008-07-18)
Amazonおすすめ度:
それなりに面白かったですが…
うん
火村先生が好きならば・・。
 大阪湾に沈んだ車から発見された男の水死体。男には高額の保険金がかけられており、警察は他殺を疑う。容疑者として名前が挙がったのは催眠ダイエットサロンを経営している妻、男に金を貸していた妻の知人、そしてその養子の三人。だがそれぞれに男を殺害できない理由があった・・・(「猿の左手」

 「猿の左手」「残酷な揺り籠」の2中編をあわせて長編仕立てにした作品。
 なんといってもジェイコブズの「猿の手」についての新解釈が目を惹きます。未読ながらも大筋は知っている作品だったのですが、わかりやすく適切な論理展開になるほどと頷かずにはいられません。それはあたかも『ニッポン硬貨の謎』における「『シャム双子の謎』論(あるいはクイーン論)」を読んだときのようでした。やはりこういうことをやりたくなる性分というのがあるのでしょうか。
 ミステリとしては、特別な知識を絡ませたようなトリックが出てくるわけではなく、むしろ一つ一つのヒントを着実に組み合わせていった印象。奇抜なトリックもいいですが、こういった論理の積み重ねも読みどころです。容疑者を守る壁を壊すようなロジックが。
 また、新登場の女性刑事・高柳もこれからいろいろな形で絡んできそうな予感。ほかの刑事たちよりも頭が切れそうな彼女によるおもしろい展開に期待します。
 欲を言えば火村と対決したあの人物がもう少し魅力的な人物であったらと。そうすれば対決シーンもさらに盛り上がったのではないでしょうか。
 そういえば、去年感じた疑問(2007.06.07「その肩書きの今は?」)に対する答えも出ていました。火村准教授って。やっぱり少し違和感がありますね。

関連作:『46番目の密室』『ダリの繭』『ロシア紅茶の謎』『スウェーデン館の謎』『海のある奈良に死す』『ブラジル蝶の謎』『英国庭園の謎』『ペルシャ猫の謎』『絶叫城殺人事件』『乱鴉の島
2008年9月16日読了
2008.09.19 Friday 22:35 | あ行(有栖川有栖) | comments(0) | trackbacks(0)

有栖川有栖『女王国の城』

評価:
有栖川 有栖
東京創元社
¥ 2,310
(2007-09)
Amazonおすすめ度:
ペリパリ
長く待たされました
待った時間の分だけ、楽しめる作品!
 大学に姿を見せなくなった江神。どうやら行き先は新興宗教の本拠地、神倉らしく、身を案じたアリスたち英都大学推理小説研究会の後輩4人は神倉へ向かう。江神の安否を確認し、手間はかかったものの合流したアリスたち。だが、滞在していた人類協会の総本部で惨劇が起きた・・・

 江神シリーズ15年ぶりの第4作。前作『双頭の悪魔』は文庫化時に読んでいるので、このシリーズを読むのは8年ぶりです。それだけに、大きな期待に応えてくれるか不安もあったのですが、全く不要でした。
 このシリーズは毎回クローズド・サークルを舞台に事件と推理が繰り広げられます。今回もその設定が秀逸。事件そのものの謎とは別に、もうひとつの謎を最後までずっと引っ張り続けます。しかも最終的に明かされたとき、2つの謎が融合する姿がとても美しいのです。
 もちろん、事件の謎も「読者への挑戦」の後に、論理的かつ美しく、しかも挑戦的に解明され、堪能という言葉が相応しい読み応えでした。

 中盤、いくらか不要とも思われるペダントリーが見受けられたのですが、登場人物や舞台の特殊性を考慮すれば仕方ないことかもしれません。むしろ、それ以外のところに綿密に伏線が引かれていることの方が重要で、高く評価するべきでしょう。振り返ると、その伏線に圧倒されてしまいます。
 また、クローズド・サークルに付き物となってしまった携帯電話の処理方法が、前作から時代設定を継続する(=バブル期のまま)ことによって難なく処理されているのは興味深いものでした。21世紀を舞台にしたクローズド・サークルものは携帯電話の処理が難しいと言わざるを得ません。
 個人的には望月・織田のコンビが活躍したのが嬉しかったですね。「邪魔しやあすな!」と。
 「あと○作で完結」などと言わず、書き続けてほしいシリーズ。多くの人に読んでほしい傑作です。
2007年10月24日読了
2007.10.26 Friday 23:48 | あ行(有栖川有栖) | comments(2) | trackbacks(2)

有栖川有栖『乱鴉の島』

乱鴉の島
乱鴉の島有栖川 有栖

新潮社 2006-06-21
売り上げランキング : 43040

おすすめ平均 star
starちょっと違和感を感じたのは???
starつまらない!
star技巧に凝らない正統なミステリー

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

 新年の1冊目は、昨年の本格ミステリ・ベスト10第1位です。

 疲れた体と心を休めるために孤島の民宿へ行くはずだった助教授の火村とミステリ作家の有栖川は、ちょっとした手違いから烏島へやってきてしまう。しかも、その日のうちに島を出る手段は見つけられない。招かれざる客となった2人が宿泊を許されたのはカリスマ詩人海老原瞬の別邸で、そこに集う人々は何らかの秘密を共有しているようであった。さらにもう1人の招かれざる客、IT長者の初芝真路がヘリコプターでやってきたとき、悲劇は始まった。

 いわゆる孤島ものです。氏の孤島ものといえば『孤島パズル』がすぐ頭に思い浮かぶのですが、あちらは江神先輩のシリーズなので、火村シリーズとしては初めてだとか。意外でした。
 冒頭に記したとおり、この『乱鴉の島』は本格ミステリ・ベスト10第1位に輝いた作品なのですが、予想に反して地味でした。道具立ては孤島のほかにも秘密の集まり、カリスマ詩人、IT長者など派手に使えるようなものを取り揃えているのですが、それにもかかわらず物語は淡々と、静かに語られていく。この作品はトリックよりもロジックで勝負するタイプなだけに、できることならばもう少し派手にしてひきつけたほうがよかったのではないでしょうか。
 また、事件の犯人を突き詰めると同時に、烏島に集う人々が共有する秘密を暴くことにも主眼が置かれているため、興味が散漫になってしまう感があります。盛り沢山とも表現できるでしょうが、2つが有機的に結びついているとは思えないのが残念です。
 加えて、真犯人の動機が内容はともかく後付け的で、告白に至るまでに窺い知ることが出来ないのもどうしたものかと。
 ただし、犯人追求のロジックはキッチリ決まっていて、読み応えがあります。案外短編ですっきりさせたほうがよかったかもしれませんね。

関連作:『ブラジル蝶の謎』『絶叫城殺人事件
2007年1月8日読了
2007.01.09 Tuesday 00:00 | あ行(有栖川有栖) | comments(0) | trackbacks(0)

有栖川有栖『絶叫城殺人事件』

絶叫城殺人事件
絶叫城殺人事件有栖川 有栖

新潮社 2004-01
売り上げランキング : 112622

おすすめ平均 star
starインパクト大。
star謎解きミステリではなく
star謎解きミステリではなく

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 これぞ「アリス流本格ミステリ」という感じの短編集。いわゆる「火村シリーズ」で、各編のタイトルは「建物の名前(漢字3文字)」+「殺人事件」で統一されていますが・・・読みどころは本書のラストにある表題作です。

 若い女性ばかりをねらう連続通り魔事件が大阪で発生。火村が捜査に加わり、東京のホテルでカンヅメになっていたアリスも遅れて参加する。通り魔の手口、そして被害者の口の中に「ナイトプローラー」と書かれた紙を残すところは、ホラーゲーム「絶叫城」を模していた・・・

 ポイントは、狭められた府警の包囲網から姿を消すナイトプローラーを捜すことはもちろんですが、それ以上に2つの「動機」にあると思います。1つはナイトプローラーの正体から納得できるものなのですが、もう1つはこの作品を書き上げる中で、作者がもっとも主張したかったことと直結しているのではないかと。それを表現したいが為に書き上げたといってもいいのではないでしょうか。ご本人がどのようにお考えかは知りませんが。
 比較的長い短編でしたが、犯人を追う火村、アリス、府警の面々の焦りが感じられ、スリリングで楽しい作品でした。このテーマで長編にしても良かったのでは?

 他の収録作も粒ぞろいの印象です。ちなみに「壺中庵殺人事件」は『大密室』収録作で、以前日記でもちらっと・・・

収録作:「黒鳥亭殺人事件」「壺中庵殺人事件」「月宮殿殺人事件」「雪華楼殺人事件」「紅雨荘殺人事件」「絶叫城殺人事件」
関連作:『ブラジル蝶の謎』『乱鴉の島
2004年12月28日読了
2004.12.29 Wednesday 00:00 | あ行(有栖川有栖) | comments(0) | trackbacks(0)