こんな夜だから書庫に行こう

はてなから感想の保管作業終了!!
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2009.09.29 Tuesday | - | - | -

坂木司『夜の光』

評価:
坂木 司
新潮社
¥ 1,680
(2008-10)
Amazonおすすめ度:
孤独のなか、闘いは続くが……
静かな余韻が心地よい
 昼間の姿は仮の姿、夜の姿が真の姿。四人は、それぞれが最前線で死闘を繰り広げるスパイ。天文部員として観測会のために集まる屋上こそ、四人の安息の地。そしてこの物語は、高三の一年間における四人の壮絶な戦いの記録・・・

 何のことだかよくわからないようなあらすじですが、ジョー、ゲージ、ギィ、ブッチというコードネームを付け合った四人の高校生の、家庭からの脱出とアイデンティティの確立を賭けた戦いの短編集です。
「季節外れの光」
 4月なのに、裏庭の池で蛍の光を見たという。生物の教師が蛍を放したというが・・・ミステリとしては非常に薄味ですね。光るものって言えば他にはなかなか思いつかないですし。なんだか、見ちゃいけないものを見てしまった気分。
「スペシャル」
 定期的にピザのアラカルトを頼む二人の人物。男性はいつも盛り沢山、女性はシンプル・・・これはどちらも思いつかない理由でした。いや、こんなことする人はきっといないとは思いますが。
「片道切符のハニー」
 文化祭。手芸部の出す店で「あなたには売らない」と言われたジョー。どうして・・・これまた迷う余地が少ない謎。ひどい奴がいますね。明らかにやりすぎな文化祭。毅然としたジョーが輝いて見えます。
「化石と爆弾」
 冬の日、薄着で白いぬいぐるみのようなものを手にした女の子と出会ったゲージ。焼却炉の場所を聞かれたが・・・次への一歩をどのように、どちらへ踏み出すか。多くの人が迷うことですが、やはり自分を捨ててはいけないですよね。それはぬいぐるみの彼女だけでなく、天文部の四人も、そして僕たちも同じこと。
「それだけのこと」
 卒業した四人。ブッチからのメールで集まった場所は、養蜂に携わる彼の寝座・・・後日談。ともに戦った戦友たちの集い。

 あらすじから物騒な物語を想像していたのですが、やはりそんなことなかったですね。坂木さんらしく、それでいて今までとはちょっと違うというか。コミカルなキャラクターをも扱い、しかし根底にあるテーマはちょっと重い。そのバランスが絶妙でした。
 四人の戦闘の理由は、傍から見れば他愛のないことかもしれません。でも、長かった戦闘の末にとりあえずの勝利を勝ち取った四人からやすらぎと安堵を感じ取ったのは、きっと僕だけではないはずです。
 そうそう。夜、星空を見上げながら学校の屋上で食べるものは何でもおいしいんですよ。たとえカップラーメンでも。

収録作:「季節外れの光」「スペシャル」「片道切符のハニー」「化石と爆弾」「それだけのこと」
2008年12月12日読了
2008.12.19 Friday 21:56 | さ行(坂木司) | comments(0) | trackbacks(1)

坂木司『先生と僕』

評価:
坂木 司
双葉社
¥ 1,470
(2007-12)
Amazonおすすめ度:
さわやかな読後感が心地よい。
悪くはないですよ。
著者らしいほのぼの作品です
 大学生になった伊藤二葉は極度の怖がりなのに、推理小説研究会に入れられてしまった。途方に暮れる二葉にバイトの誘いの声が。家庭教師を探していたのは中学生の瀬川隼人。家庭教師なんて必要ない成績の隼人は、二葉のミステリの先生になった・・・

「先生と僕」
 参考書を探していた書店で、二人は電話番号の書かれた付箋が貼られた雑誌を見かける・・・今この業界なかなか大変ですよね。目のつけどころがおもしろい作品でした。
「消えた歌声」
 誘われてカラオケに行った二葉だったが、小火騒ぎで避難する間に二人の女子高生がいなくなったという・・・あっさりとネタが想像できてしまったのが難点でしょうか。
「逃げ水のいるプール」
 二人で行った区民プール。区役所の職員らしき男がメモを取っているが、バイトの白井は何やら彼から逃げているようで・・・一種の暗号もの。普通に考えれば、この時季にこんな服装をしているのはおかしいのですが。
「額縁の裏」
 時間つぶしに自然食品とギャラリーを併設した店。絵の作者の女性と親しくなった二葉だが・・・怪しいところには近づかないのが一番ですね。
「見えない盗品」
 『・・・ちなみにペットサービス○崎にて収穫予定(笑)』ペットショップでの犯罪を匂わせる掲示板の書込みに、二人は現場で張り込む・・・「先生と僕」もそうですが、こういうことが半ば堂々と行われ、しかも協力したり利用したりする人がいるということが信じられません。

 ふんわりとした雰囲気の短編集。坂木さんの新シリーズです。
 怖がり、臆病、お人好しで押しに弱いというような二葉のキャラクターを生かした作品が多い反面、どこから切っても坂木印というか、ややマンネリ気味な気がしてなりません。
 また、隼人があまりにも無邪気でとても中学生に見えず、かといって妙に頭でっかちでバランスが悪いのもどうかと。こんな中学生いや。
 ミステリを読んだ満足感はちょっと得られませんでした。
 短編集としては、別段区切りになる終わり方ではないので、まだ続編が出るということでしょうか。

収録作:「先生と僕」「消えた歌声」「逃げ水のいるプール」「額縁の裏」「見えない盗品」
2008年3月17日読了
2008.03.24 Monday 17:52 | さ行(坂木司) | comments(0) | trackbacks(0)

坂木司『ホテルジューシー』

評価:
坂木 司
角川書店
(2007-09)
Amazonおすすめ度:
浩美の頭の方さが鼻につくけど、憎めない。
ライトノベル的だけれども楽しい♪
 浩美が夏休みのバイト先に選んだのは居心地のいい石垣島。だが、慣れた頃にオーナーの依頼で那覇のホテルに移ることになった。そこはオーナー代理を筆頭に、マイペースで一風変わった人たちがいる宿。宿泊客たちの抱える事情も様々で、浩美は正義感からついつい深入りしてしまう・・・

 サキが歯科医でバイトする『シンデレラ・ティース』の姉妹編。サキが選んだのが歯科医なら、浩美はリゾートホテルだったということ。
 正義感、責任感が強く、しっかり者というのが浩美のキャラクター。正直、「そこまで深入りする必要があるのか」と言いたくなるほど宿泊客たちの事情に踏み込んでいきます。その宿泊客のためになるときもあれば、そうとも言えないときも。なぜなら、それは自分が持っている枠を人に押しつけるような行為だから。
 沖縄という地で、マイペースでアバウトという正反対な人たちに囲まれて、浩美がどのように自分が持っている枠を打ち破るか。ミステリとしては薄いので、そこが読みどころだと思っていました。しかし、失敗したりうまくいかなかったりすることはあっても、自分の枠を打ち破るとまではいかなかったようで残念。

 物語は様々なタイプの客の事情がおもしろく、中には沖縄ならではの話もあって興味深いものでした。
 坂木さんの作品は、男性よりも女性が主人公の方がいきいきしているように思います。きっと他の作品とリンクして、浩美もまたどこかでちょっとだけ登場するのではないか、そんな気がします。

収録作:「ホテルジューシー」「越境者」「等価交換」「嵐の中の旅人たち」「トモダチ・プライス」「≠(同じじゃない)」「微風」
関連作:『シンデレラ・ティース
2007年10月28日読了
2007.10.30 Tuesday 12:01 | さ行(坂木司) | comments(0) | trackbacks(0)

坂木司『ワーキング・ホリデー』

評価:
坂木 司
文藝春秋
¥ 1,550
(2007-06)
Amazonおすすめ度:
父と息子のひと夏の体験
 元ヤンでホストをしているヤマト。彼の元に現れた男の子は、突然こう言ったのだ。「はじめまして、お父さん」と。男の子は進といい、どうやら遠い昔に別れた由希子の子どもらしい。とりあえず進を預かることにしたヤマトだったが、進を店に連れて行ったその日にささいな事件を起こして店をクビになってしまって・・・

 宅配便でおこる様々な日常の謎をホストから転身した大和と突然現れた息子の進が鮮やかに解決する連作短編集・・・かと思いきや、ミステリ成分はないに等しい純情親子のひと夏の物語でした。

 ミステリを期待していたので肩透かしにあった気分ですが、これがなかなかおもしろいのです。とにかく登場人物たちがいいのです。
 特によかったのが息子の進のキャラクター。小学五年生でありながら家事には一家言持つうるさい存在。「おかあさん」というあだ名のとおり料理、洗濯、掃除と家事は何でも大人以上にこなすしっかり者。だけど、作中にもあったとおり、こういう男の子って本当にもてないですよね。女の子にもしっかりしすぎてうるさいとか、おもしろみがないとか思われるのでしょうか。大和の行動をすっかり読みきっていたりする反面、大和にもてる秘訣を教えてもらったりするような子供らしさも持っていて、なかなかかわいらしいですね。
 一方で父親の大和は、元ヤンのホストから宅配便に転身、しかもリヤカーで配達するというこのギャップに驚きます。リヤカーを勝手にカスタマイズしてしまったりするあたりはいかにもという感じですが、進に影響されて父親らしさを身につけていくのは読んでいてほほえましいです。
 そのほかにもジャスミンや雪夜、ナナ、ボスなど様々な特徴的な登場人物たちが揃っていますが、みんないい人ばかり。ちょっと前だと坂木さんの作品はいい人ばかりでちょっと抵抗があったのですが、今回はそういうことは全く感じませんでした。

 早く冬休みにならないだろうか、進が大和の元に戻ってこないだろうかと楽しみでなりません。
2007年8月3日読了
2007.08.07 Tuesday 19:05 | さ行(坂木司) | comments(0) | trackbacks(0)

坂木司『シンデレラ・ティース』

シンデレラ・ティース
シンデレラ・ティース坂木 司

光文社 2006-09-21
売り上げランキング : 39637

おすすめ平均 star
starくっつきそう?あ、くっついた。
star人だけでなく、歯も大切にする気持ちへ
starみんな、同じトラウマを抱えてますよね・・・

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 夏休みを迎え、大学生のサキは母親から紹介されたバイト先へ行ってみたが、そこは大嫌いな歯科医院だった。サキは子供の頃の体験から、歯科医院には行かないように過ごしてきたのだ。「品川DC」で受付のバイトを仕方なく始めたサキだったが、心やさしいスタッフに囲まれ、馴染んでいくサキ。しかし、受付は様々な患者の悩みやちょっとした事件とも向き合わなければならないところだった。

 「医者が好き」という人は少ないと思うのですが、中でも「歯医者が好き」という人は極めて少ないのではないでしょうか。特にあの音! 僕も歯医者は嫌いなんです。それでもある程度我慢して通ってますけど。だからこういう温かみのある歯医者さん、いいなあ。それでも行かないで済むならそのほうがいいけど。

 さて、この『シンデレラ・ティース』は歯医者を舞台にした連作短編集です。
●「シンデレラ・ティース」
 受付業務に慣れ始めたサキの前に現れたのはクレーマー? 彼は通院している彼女の診察について「時間がかかりすぎる」「薬が多い」と文句をつけだしたのだ。
●「ファントムvs.ファントム」
 予約の電話をかけてきた人と実際に現れた人は別人、しかも全くイメージの違う人だった。
●「オランダ人のお買い物」
 雨宿りに借りた軒先で出会った男性がクリニックにやってきた。患者の生活習慣などを記した「第二のカルテ」づくりのために談笑するサキだったが、話は思わぬ方向に。
●「遊園地のお姫さま」
 「わたし、きれい?」我が物顔でクリニックに入ってきた院長の孫娘はいきなり四谷にそう尋ねた。
●「フレッチャーさんからの伝言」
 仕事が忙しいことを理由に必ず遅れてくる患者がいる。だが、話を聞いているとどうもちぐはぐな印象が。

 今まで読んできた坂木作品(『青空の卵』『切れない糸』)は、やはり共依存的な人間関係やあるいはBLらしさを感じる主人公など、読んでいて違和感を感じざるを得ませんでした。しかし、今作はそういった違和感を感じることなく、自然に読むことができました。それは主人公が女性だったことが1つの原因ではないでしょうか。サキの物事のとらえ方、考え方がきわめて普通に感じられたのです。きっと覆面作家の坂木さんは女性なのではないかと勝手に想像しています。
 ミステリとしては決して複雑ではなく、どちらかというと結末の予想がつきそうな作品もあります。ただ、歯医者という設定を活かしたものも多く、おもしろかったです。こうやって見ると、歯医者に限らず医者というのは、専門知識だけでなく人のプライベートや生活習慣を活かした日常の謎がまだまだ作れそうな気がします。

 ちなみに、サキの親友ヒロちゃんの作品も用意されているようなので、そちらは来年のお楽しみですね。

 収録作:「シンデレラ・ティース」「ファントムvs.ファントム」「オランダ人のお買い物」「遊園地のお姫さま」「フレッチャーさんからの伝言」
2006年12月18日読了
2006.12.19 Tuesday 16:54 | さ行(坂木司) | comments(0) | trackbacks(1)